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第四話 VSヴァンパイア①

長くなったので前後編です

「…さて、『夢幻』のみんなとも別れたし、探索始めますか!」

『俺の能力については聞かなくていいのか?』

「うーん、正直能力についてはどうでもいいんだよね。協力するのも別に冒険者の手伝いがすごく魅力的ってわけじゃないし」

『へ?』

「だって考えてもみてよ。あなたの能力が直接攻撃系なら私が戦闘するとどこからともなく強力な攻撃が出てくることになるし、補助系でも私が急に強くなったり敵が急に弱くなったり?あとは急に罠が出現ってのもあるか。明らかに不自然でしょ?」

『あー…それもそうか。でもそれならなんで協力してくれるんだ?』

「面白いことが起きそうだから。最悪面白くなくても喋ってスキルも使えるようなてんとう虫は高く売れるしね」


 エルは冗談めかしてそういうと、森の中へと歩き出した。

 今エルたちがいるのは、町のはずれの森に接している道だ。町からはそこそこ離れており、ここからなら町の周囲を見渡すことができる。

 今回痕跡が続いていたのは森の中だったようだ。


『なあ、吸血鬼がどこにいるのかってすぐわかるのか?』

「うーん、時と場合によるね。基本的に魔物って自分がいた痕跡を消さないからたいていはすぐ見つかるんだけど、前回の出没から時間が経ってたり、別の魔物が出没したりすると見つけにくくなるわ。まあ今回は、すぐ見つかると思うけど」

『そういえば最近出没したばっかりだって言ってたな』

「それに魔物は森の中にいるものが比較的多いからっていうのもあるね」

『ん?なんで森の中にいると見つけやすいんだ?』

「それは…秘密だよ」


エルは一瞬顔をしかめてそう言った。

 何か知られたくない事情があるのだろう。そう納得してコージは話題を変える。


『ま、それはいいか。それより職業ってのはどうやったらつけるんだ?』

「職業?職業は教会に行って転職手続きすればなれるけど…コージは無理じゃない?」

『さすがにてんとう虫じゃ転職はさせてもらえんか…』

「いや、そうじゃなくて。転職するには確かヒト種であることが条件だったはずだからそもそも職業があるかどうかすら怪しいし」

『マ、マジか…』

「あたりまえじゃない。職業は昔戦神が人間のために生み出したって言われてるんだから。魔物がなれたら意味ないじゃない」

「へぇ、そうだったのか」


 そんなとりとめのないことを話しつつ、一人と一匹は森の奥へと入っていく。

そうして一時間ほど歩いただろうか。ふいにエルは足を止めた。

「…何か聞こえる。これは…戦闘音?」

『本当か?俺は聞こえないが…』

「うん、間違いないわ。こっちのほうでだれか戦ってる」

『吸血鬼か?』

「わからない。けど関係がないとも思えない。とりあえず向かってみるよ」

『わかった!』


 エルとコージは音のするほうに向かって走る。

 しばらく走ると少し開けた広場のような場所に出た。中央には人が二人並んで入れるような大きな穴が開いており戦闘音はその中から聞こえる。


「ここだね」

『『夢幻』のメンバーを呼ぶか?』

「うん、でも私たちはその到着を待たずに行くよ」

『どうしてだ?』

「中から聞こえる音が変わったわ。さっきより打撃音が多くなってる。多分中で戦っていたどちらかの存在が負けて甚振られてるっぽいね。人だったら早くいかないと命に関わるわ」


 そこまで話すとエルは魔道具の笛を取り出し強く吹いた。ピイィ!と澄んだ音が鳴り響いたのを確認して、エルは動き出した。


「どんな状況かはわからないけど、とりあえずは戦闘に備えて!行くわよ、コージ!」

『任せろ!俺が有能なことしっかりアピールしてやるぜ!』


~洞窟内部~


「部屋数はそんなに多くなさそう」

『というか一本道だな』

「吸血鬼はほかの魔物や動物、人間なんかを使役して戦わせていることが多いわ。『吸血鬼化』っていう状態異常を付与して操るの」

『状態異常ってことは治せるのか』

「そうだよ。本当ならちょっとお高めのポーションがいるんだけど今回は『夢幻』がいるからね」

『状態異常を回復できるやつがいるのか?』

「ええ。リーダーのリリィね」


 リリィは『大神官アークプリースト』という僧侶系の上位職であり状態異常を打ち消す魔法が使える。

今回はその魔法があるからこそ臨時パーティーを組んできたのだ。


「だから『吸血鬼化』してるのは片っ端から簀巻きにしてくよ」

『おい、捕獲のほうが難しいんじゃないのか?』

「大丈夫よ。『吸血鬼化』しても能力はそこまで上がらないし、そもそも吸血鬼のランクはDだから私一人でも討伐できるわ」

『ならいいが…』


 そうして歩くこと数分、ひときわ広い空間に出た。半径凡そ30mのドーム型になっており、天井は高く壁はかなり固く固めてある。そしてその中央のあたりで青白い顔をした人々―おそらく『吸血鬼化』した人たち―が何かを囲んで叩いていた。ドカッ!バキッ!という音が響いている。


「あれが音の発生源ね」

『おいおい、あんなに囲まれてたら真ん中のやつ死にかねんぞ』

「そうね、とりあえず周りの人たちを拘束しましょう。」


 そういうとエルは剣を抜き放つ


「大地よ、姿を変え我が敵を拘束せよ【大地の鎖(アースバインド)】」


 詠唱が終わると同時に人々の下から鎖が伸びて四肢を拘束する。彼らは抵抗しているが鎖が解ける気配はない。


「これで一安心、っと…。囲まれてたやつ見に行くよ」

『死んでないといいな…』

「どうだろうね」


 エルたちは『吸血鬼化』した人々を乗り越え、真ん中にたどり着いた。そこにいたのは————


『女の子?』

「獣人だね。ネコ科かな?」


 ————獣人の女の子だった。十代半ばほどに見えるが、全身にひどい打撲痕があり息も絶え絶えな様子だった。


「先に治療だけしてあげようか。ポーションはいくつかあるし」


 そういってエルは袋から小瓶を取り出すとふたを開け、獣人の女の子の口の中に中身を注ぎ込んだ。


「んっ——!ごほっ!えほっ!」

「大丈夫。ただのポーションよ。しっかり飲みなさい」

「———こ、ここは…?」

「残念なことに場所は変わってないよ。君、なんでこんなところにいるの?」


 そう、ここは吸血鬼の作った穴倉の中。森の中のかなり奥のほうにあるため一般人が迷い込むなんてことはそうやすやすと起こりえることではない。


「私、は…お父さんとお母さんを探して、来た…」

「そのためだけに自分の町からこんなところまで?もしかして冒険者?」

「う、うん…」


少女は腰の袋から冒険者手帳を取り出しエルに渡した。


「ランクE…まだ駆け出しじゃない。ずいぶん無謀なことしたね」

「吸血鬼は、この奥にいるの…。お願い、お父さんとお母さんを助けて…」

「りょーかい。ま、それが依頼だしね。吸血鬼はぶちのめしとくから。あなた、名前は?」

「ウルハ、よ…」

「じゃあウルハ、そろそろポーションで傷も塞がっただろうから先に脱出してウルサスに行ってて。方向はわかるね?ここを出てまっすぐ行くと見えるから」

「でも…」

「大丈夫。あなたのお父さんもお母さんもみんな助けてあげるから」


そう言ってにっこり微笑むと少女——ウルハはこくりとうなずいて出口のほうに走っていった。


「さあ、この奥だってことだから、サクッと退治に行きますか!」

『サポートいらなさそうだぞこれ…』


一人でげんなりと独り言を言ったコージだった。


書いてる途中で会話がめちゃくちゃ多いことに気が付きました。

減らしたほうがいいかな…?

あとコージが活躍する場面か作れる気がしないです。

なんか細かい設定的なことが出てきてますが、その辺は気が向いたときに設定資料集って感じで乗せときます。


面白かったら下のほうにある☆☆☆☆☆を★★★★★にしてもらうととてもやる気が出て投稿頻度上がるかも?

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