プロローグ&ゲーム概要
剣と魔法が息衝く異世界『ハスヴァ』。其処にあるリオエル大陸では、魔族と人類が互いの生活圏を隔てながら生きてきた。
強い魔力と異形的な外観を持つ魔族は、最高位の実力者『魔王』によって支配される。
魔王には突出した能力を誇る側近『四天王』が付き従い、その治世を盤石な物とした。
だがある時、長らく安定していた魔王の支配体制に亀裂が走る。
四天王の一角を務めるアンデットマスターが、至高の座を簒奪せんと目論見、魔王抹殺を企てたのだ。
自らが得意とする死霊術によって亡者の軍勢を作り上げ、反旗を翻す準備は着々と進められたが、計画が露見し他の四天王メンバーに討ち破られた。
敗北したアンデットマスターは軍勢を滅ぼされ、魔力の大半を失うものの、処刑される寸前に逃亡し姿を消す。以後、杳として行方は知れず、歴史の表舞台に現れることもなかった。
この事件を契機に、死者の骸へ仮初の魂を吹き込み、自らの従僕として使役する死霊術は、魔王の名によって禁術へ指定される。関連する魔導書は悉く処分され、残された僅かな文献も厳重に封印された。
魔王は最も信頼厚い腹心中の腹心だったアンデットマスターが造反を企図したのは、理を侵す不浄な邪法である死霊術に魅入られたためと考えた故に。
それより280年後。
寒冷気候で生物の気配も薄い北方のに果てに『死の灰宮』と呼ばれるダンジョンが存在する。
数多のモンスターが蔓延り、不用意に踏み入れば生きて戻れないと伝えられる、底深き迷宮。
暗色の瘴気が漂い、濃厚な死の気配に満ちた其処は、数々の挑戦者を無慈悲に飲み込んできた。
しかし悪名とは別に、生贄を捧げることで『生命の奇跡』が授けられると、密かな噂も囁かれる。
当代の魔王は名君と呼ばれ敬われていたが、業病に蝕まれて余命幾許もない状態であった。
魔王に仕える忠臣達は主君の快気と延命を願い、あらゆる薬法と治癒術を試したが成果は得られず、ついに『死の灰宮』へ縋り始める。
年若い魔族達を生贄としてダンジョンへ送り込み、『生命の奇跡』が齎されることに全てを賭けた。
最北のダンジョンは静かに若き生命を迎え入れ、ただ沈黙を続ける。
生贄として捧げられた若き魔族が、『死の灰宮』深奥で目を覚ました時、この物語は始まる。
何者かが住まい、使っていただろう痕跡が見受けられる、薄暗い研究室から。
何代も前の魔王により禁術と定められた死霊術の知識が、その研究室には詰め込まれていた。
けれど部屋を築いただろう者の姿はない。代わりに置かれているのは、見知らぬ魔族の死体が幾つか。
自身は拘束をされず、特殊な呪法が掛けられた形跡もなければ、体は無事で動くことも自由。ただし扉を隔てた外通路にはモンスターが彷徨い、独力で逃げ出すことはできそうになかった。
若き魔族は研究室に収められた知識を使い、生き残る方法を模索していく。
【ゲーム概要】
貴方は『死の灰宮』の深部に一人佇んでいた魔族です。
禁術として使うことを許されていない死霊術へ手を出し、密かに会得したことが発覚したため、捕らえられました。その後は生贄として『死の灰宮』へ送り込まれ、その奥深くで目覚めたのです。
ダンジョン内部は数多のモンスターが跋扈とする危険地帯で、貴方が単身で抜けることは不可能です。
しかし貴方が立つ室内は結界により安全が保たれ、膨大な死霊術の知識が残されています。
何者かが意図的に貴方を其処へ運び入れたのは間違いありませんが、実行者の姿はなく、目的も不明です。
奇妙な状況ですが、貴方は生きるため死霊術を更に深き学び、利用していく必要があります。
室内に保管されている魔族の死体を死霊術で蘇らせ、自身の手足として使役していきましょう。
このまま脱出しても死霊術の使い手である貴方は、再び魔王勢力に追われるだけ。
彼等と交渉するためには強力な材料が必要です。
『死の灰宮』を探索し『生命の奇跡』を手に入れて戻れば、これ以上ない切り札となるでしょう。
何者かの研究室を拠点にして、アンデットを作り、強化して、モンスターと戦い、魔力を得ながら、ダンジョン攻略を目指してください。