03 小さな一歩
帰り道僕は少し気分が踊っていた
皆んなLINE交換してるのに...
ーー家ーー
僕は家に帰ってすぐ水野さんを追加した
部活の後ご飯食べに行ったのか
追加されたのは10時ぐらいだった
--LINE画面--
「よろしく!」
押すのに少し手間取ったが送った
「よろしく!」
水野さんから返事が来た
(なんだこのスタンプ笑)
少し笑みが溢れた
遅かったけど、出かけてた?」
「うん、外食してたごめんね追加するの遅くなって」
「いいよ全然!」
「ありがと」
「今日は遅いからまた明日」
「おやすみ」
「おやすみ」
こんなちょっとしたLINEのやりとりでも
なんだか、気分が上がった
--数日後--
「おはよう」
「おはよう」
「今日、春のやつ熱出して学校休むらしいぞ」
(言わんこっちゃない)
「夜更かししてるからだよ、お前も気をつけろよ」
「大丈夫、春と違って俺体強いから」
「そう言う問題じゃないって」
「ワンチャン仮病かもな笑」
--教室--
--水野さん視点--
最近は部活が忙しく勉強ができていない
私は父親がいなく、いつも母に苦労させている
「雪っちなに暗い顔してんの?」
「うんん、何でもない」
「そっか、ちょっと元気なさそうだったから」
「気にかけてくれてありがとね...」
「うん、もうすぐ大会なんだから気合入れていこう!」
「そうだね...うん!」
ーー昼休みーー
昼休みになると
夏目くんは、いつもどこかへ行ってしまう...
「雪っちどうかした?」
「何でもない、食べよっか!」
(なんか雪っち最近ちょっと大丈夫かな)
--放課後--
「いたた」
私は転んでしまい、水道で足を洗っていると
(あれ、ハンカチがない...)
(どっかで落としたのかな?)
「おーい!水野大丈夫かー?」
男子部員に呼ばれた
「うん、大丈夫、今行くー!」
--蓮視点--
僕は忘れ物をし、急いで教室に向かった
「ん?」
MSと刺繍されたハンカチが落ちていた
(このクラスでMSって言うと、水野さんしかいない!)
外を見ると陸上部の練習が始まっていました
(まあ、暇だし図書室で本でも読んでおこう...)
「ん、夏目漱石だ..吾輩は猫である
確かこれ、初めて読んだのこれだっけ」
僕は一人ごとをぶつぶつ言っていた
僕が本を読むようになったきっかけは
自分と同じ苗字の小説家がいて
気づけばその小説家、夏目漱石の
小説に惹かれていった
5:30
「いけない!」
僕は気づけば1冊読み終わっていた
「やっば、どうしよう」
いつ渡そうか考えていながら階段を降りていると...
「え、夏目くん!」
顔を上げると驚いた顔で水野さんが立っていた...
「わ、水野さん、何で学校にいるの?」
「忘れ物しちゃって...」
「夏目くんは?」
「本を読んでいたら時間忘れてて...」
「夏目くんって本好きなんだ!」
「うん...そうだけど..
水野さんハンカチとか落としたりしてない?」
「落としたけど...どうして?」
「これ...」
僕は拾ったハンカチを見せた
「SMって刺繍してたから、水野さんかなって...」
「これ私の、ありがと部活前に落として...」
「そうなんだ、良かった」
--校門前--
「またね夏目くん...」
「うん...」
そう夕焼けに照らされる彼女は
なんだか、いつも以上に明るく見えた...
--水野さんの家--
--LINE画面--
「今日はありがと!」
「どういたしまして」
夏目くんからスタンプが送られてきた
「最近元気なかったけど、どうしたの?」
「私、父親がいなくて、最近勉強も出来てないし、
部活でも調子が悪くて...」
「僕も母親いないんだ」
「そうなんだ...」
「でも、もう大丈夫!」
「そう、よかった勉強なら僕が教えるよ
僕、勉強得意だから」
「ありがと、今度の土曜日勉強教えてもらおうかな」
「いいよ、土曜は予定ないからそれに
もうすぐ期末テストでしょ?」
「そうだね!」
実際に話すのは、少し難しいけど
LINEの会話だったら思った事を話せるし、
とても、楽しかった
「喫茶店とかどう?」
「いいね、待ち合わせは、1:30ね!」
「了解」
「それじゃまた学校で!」
「おやすみ」
「おやすみ」
(なんか、言ったけどこれ実際に会って
勉強するんだよね?)
楽しみでだけど、少し緊張していた
それは水野さんも一緒なのだろうか...
是非、気に入ったらブックマーク
レビューお願いします