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Bye Buy Memories    作者: 吉永進
2/7

騙された!

 中に入ると、私は、声を上げてしまいそうになるほど驚いた。周りは、外装とは対照的に小綺麗な床におしゃれなシャンデリア、3つの窓口に人が整理券をもって並んでいる。私は、整理券をもって3番窓口に並んだ。前には、人が2人しかいない。意外と早く順番が回ってきそうだと思った。その予想は的中し、10分ほどで自分の番が来た。

「ようこそぉ、幸せ市場へぇ~。」といかにも怪しそうなしゃべり方で話してきた。とっさに「は、はい。」と返事するももうすでに帰りたい気持ちでいっぱいである。

「わたくしぃ、幸せ市場の管理人の一人でありまぁ~す。木野欠といいま~すぅ。よろしくぅお願いしまぁ~すぅ」と紹介し名刺を渡してきた。名刺の形は長方形ではなく台形で名刺といえるのかもはやわからないほど変わっていた。

「ここの施設は夢を叶えてくれるのですか。どんな方法で叶えてもらえるのですか。」と聞くと、「ここではぁ、このツボを置いておくだけでぇ、夢が簡単にかなうことができるのですよぉ」と欠は言った。「しかもお値段は200円しかいりませぇ~ん。しかし、代償がありまぁ~す。」

「なんですか。」と聞くと、

「それは、あなたの大切なもので~す。」

「大切なもの!?」

「はぁ~い。」続けて欠は早口で次のように話した。

「大切なものといってもあなたの部屋にも実家にもありませぇ~ん。皆さぁんがちょっと大事なものを捨てるだけで何でも夢が叶いまぁ~す。どうせ、あなたの大切なものなんてそんなにないでしょうぅ~。それよりも、これから起きる素敵なことを楽しむことのほうが十倍楽しいのではないでしょぉ~か。」

 確かに私は不幸なことばかりだ。中学生の時にヤンキーからいじめを受けていたこと、親に失敗作といわれたこと、私の周りは成功し自分は成功せず未だに平社員であること。思い出すときりがない。

私は、どうせデマだろうと思いつつもコンビニの「チキン」と同じ値段なんだから騙されてももいいやと思い購入してしまった。その後、うれしかったのか欠は入念に握手をしてきた。少し驚いたが、私は嫌がらず握手をした。

 怪しい店を出て外を出ると、驚くぐらい晴れていた。さっきの大雨はなかったかのようだ。元の道に戻り、信号を渡り、コンビニに行った。コンビニで軽くおにぎりと野菜スティックを買い、ついでに焼き鳥も買った。外に出て、空を見ながら帰り道をひたすら歩く。家に帰って、すぐにツボを置いた。このツボの箱の中身よく見ると、小さな説明書がついていた。

 説明書には「ツボを置き、10秒間手を合わせて叶えてほしいことを声に出して唱えよ」と書いてあった。私は、説明書通りにツボを置き、手を合わせて、「宅配ピザが欲しい」と願った。願ったが、当然何も起きない。「これで、6回目だ!!」つい少し大きな声で呟いてしまった。これは、私が騙された回数である。もう体の力が抜けてしまい、その日は寝てしまった。

次の日、「ピンポーン」と音がした。

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