第9話
「美味しい!愛奈また料理の腕上げたのね!!」
愛奈お手製の晩御飯を食べて姉は感動したように声を上げた。
「どういたしまして、あかねちゃん。おかわり、まだあるからね?」
「いやー、ホント美味しいわ。駿吾、アンタお昼いつもこれ食べてるとかどんな贅沢よ」
「うん。いつも感謝してますよ、ホント」
「あかねちゃん、しゅんちゃん。2人ともありがとうね」
姉弟で愛奈に感謝の言葉を述べて、それを愛奈が受け止める。このやり取りは、ずっと前からやっているので愛奈も照れる事なく返していく。
「ねぇ愛奈、今日家に泊まってかない?」
姉が思いついたように愛奈にそう聞いて来た。
「うーん・・・色々と準備とかしたいから今週末で良いかな?」
「わかった、今週末ね。泊まるのはアタシの部屋で良いでしょ?」
「うん、良いよ。……週末、楽しみだなぁ…倉島のおばあちゃんのところにも久しぶりに寄るし」
「おばあちゃん家?どうして?」
倉島のおばあちゃんが話に出てきて疑問に思っている姉に俺がさっき電話で話した内容を伝えると、
「ねぇ、アタシの事は何か言ってた?」
「何かって何を?」
「だって愛奈の花嫁姿見るまではー・・・って言ったんでしょ?アタシはどうとか言ってなかった?」
そう言われて、ばあちゃんとの話の内容を改めて思い出すが、
「……言って無いわ」
「えぇー、おばあちゃんヒドイなぁ……」
「あか姉ぇも週末一緒に行く?ばあちゃんの所?」
「……週末は用事あるから明日顔出してくる」
「ん、わかった」
そして晩御飯を食べ終え食器を洗い(俺と姉でジャンケンをし、俺が負けた)、3人でリビングで休んでいると玄関から、
「ただいまー、」
と母さん達が帰ってきた
「「おかえりー」」
「お邪魔してます、おばさん」
俺と姉、そして愛奈が言うと母さんは
「愛奈ちゃん、お義母さんって言って良いのよ?」
「えっ?いやー……そのー……」
「母さん、それっぽい件さっき俺やったから、二番煎じ」
「白ける事言うんじゃないよ全く。あ、愛奈ちゃん。お父さんとお母さん帰ってきてるわよ」
「あ、わかりました。それじゃあ今日はこれで失礼しますね」
母さんとのやり取りを経て、隣の自宅に戻る為に玄関に向かう愛奈。
それに着いていき、一緒に外に出て
「あれ、しゅんちゃん?」
「送る」
「でもすぐ隣だよ?」
「……いいから」
「……ふふっ、じゃあお願いします」
そして数秒歩いてすぐに愛奈の自宅に着いて、
「送ってくれてありがとう、しゅんちゃん」
「どういたしまして」
「しゅんちゃん、また明日ね」
「うん、また明日」
その後玄関から出てきた愛奈のお母さんと少し話して、自宅に戻った。
それからは特に変わった事も無く自分の部屋で寛いでそのまま眠り、翌日を迎えた。
次で完結です。