第6話
過去編の続きからです
「愛奈ちゃん、どうしたの?」
「今朝あかねちゃんから聞いたの。しゅんちゃん今日具合が悪いから学校休むって、それに……」
「それに?……あか姉ぇ、何て言ったの?」
何だろう、嫌な予感がする。
俺がそう考えてるとは思わない愛奈は続けて、
「あかねちゃんがね、言ったの『愛奈がお見舞いに顔出せば駿吾は直ぐ元気になるから』って」
と少し恥ずかしそうに言った
「……あぁ~」
あの姉、やってくれたな。
こっちは最後の決心付ける為に仮病まで使ったのに……っ!!
「具合悪いのに来ちゃって、迷惑だったかな……?」
俺の反応が悪かったのを見て、愛奈が不安な表情を向けてきた。
「ううん、愛奈ちゃんが来てくれて嬉しいよ」
「良かったぁ……っ!!」
そう返すとさっきとは真逆の明るい表情を見せてくれた。
俺はその表情に見惚れて
「好きだなぁ……」
と思わず呟いた。
その呟きは愛奈に聞こえていたらしく
「えっ……?」
とだけ返してきた。
「愛奈ちゃん、あのっ……」
「私も、しゅんちゃんの事は好きだよ?私一人っ子だから弟みたいで……」
「ー、違うよ」
「えっ?」
「愛奈ちゃんは弟のように思ってるかもしれないけど俺は愛奈ちゃんの事、もう1人の姉じゃなくて1人の女性として俺は好きなんだ」
「しゅんちゃん……」
今日1日考えていた内容。放課後の校舎裏や教室の何処かで2人きりの状況を作ってそこでキッチリと告白しようー。
そう考えていたけど愛奈の顔を見たらどうでも良くなった。今無性に言いたかった。聞いて欲しかった。そうしたら言葉が自然と出てきたー。
あぁ、余計な事なんて考えなくて良かったんだ。
そして俺は幼馴染として最後になるかもしれない言葉を述べた。
「御倉愛奈さん、1人の女性として貴女が好きですー。結婚を前提に僕と付き合ってください」
「……っ!」
大きく目を見開いた愛奈をジッと見つめる。そしてその目から一筋の涙が流れた。
「愛奈……ちゃん?」
「ゴメンね、しゅんちゃん。嫌じゃないの、嬉しくて」
「うん…」
「私もしゅんちゃんの事、弟としてじゃなくて男の人として好きだから……」
「愛奈……」
「ちゃんと返事、しないとだね……
佐野駿吾君、私も貴方が好きです。不束者ですが、よろしくお願いいたします。」
こうして俺と愛奈は恋人同士になった。
ちなみにその日仮病で休んだ事が後日、愛奈にバレてそれはそれで怒られた
中学1年の頃を思い出していると愛奈に呼ばれた
「しゅんちゃん、しゅんちゃん」
「ん?」
「お昼休み、もうそろそろ終わるよ?」
「あっ、ホントだ」
教室に取り付けられている時計を見ると、昼休みの終わりまであと10分を切っていた。
「愛奈、また放課後ね」
「うん、また放課後」
そう言葉を交わすと周りの先輩から「またねー」と声を掛けられる。
そして最後に一言
「愛奈、今日のお弁当も美味しかった。いつもありがとう。」
と言って教室から離れた。
離れていく際に、後ろから先輩たちの黄色い悲鳴と愛奈の「何で今ここで言うのーっ!?」と言う声が聞こえてきた。
昼休み終わりました。
次は放課後です