表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイコテロ  作者: 心楽
5/39

一日前

 え〜、作者の心楽です。どうも、学校が本格的に始まってきたので、更新が遅くなると思いますが、見ていただいたら超うれしいです。また、何か間違いや誤字、この作品の感想があれば、感想をドシドシ書き込んでくれたら、超うれしいです。これからも宜しくお願いしますm(__)m。

 東京の、ある住宅街の中の一軒家の一室で、一人の少女がパソコンの画面を見ながら、慣れない手つきで必死にキーボードを叩いている。

 少女の検索ワードを見ると【超能力】と書かれている。

「唯〜、部活の時間じゃないの〜?」

 下から少女の名前を母が呼んでいるが、少女はそれどころじゃないらしい。

「今日は、気分悪いから休む」

 振り返って、一声少女は叫ぶと、またパソコンに向きなおった。

 少女、花宮 はなみやゆいの高校は今日、夏休みに入ったばかりだ。

 一重の鋭い瞳、健康的な肌、前髪をピンで止めた、少し茶色いショートカット、いかにもスポーツをやってそうな風貌をしている。 そんな印象を与える少女、花宮は、パソコンの画面の中の検索結果を手当たり次第にクリックしている。 掲示板では、書き込んだりもしていたが、返信者はイタズラや宗教だったり、自分は神だと豪語する危ない奴らだった。

 花宮は、また一つの掲示板に入り、書き込みを見ていた。

 また、ハズレかな? そんなことを思いながら、花宮が画面をスクロールしていると一つの書き込みが彼女の手を止めた。

 本者の超能力者の方がいるなら、ここに来てくれませんか?

 簡単な書き込みの下には、URLが載っている。

 そんな、簡単な書き込みだったが、花宮は惹き付けられ、同時に、この人も超能力者だ と直感し、迷わずクリックした。

 花宮は、白か黒しか色が無く、5と数字が上に書かれている。とても無機質な掲示板にたどり着いた。

 掲示板に、さっきの書き込みを見た人が荒らしに来ていると思ったが、一つの書き込みがあるだけだった。

 ようこそ  HN 黒

 花宮は、書き込み始めた。

 こんにちは黒さん、私、超能力者なんです。嘘だと思うけど HN フラワ

 何故、私が嘘だと思うのですか? 私も超能力者ですよ HN 黒

 その書き込みを見た時、花宮は、直感した。

(本物だ!)

 花宮は、朝からこんなことをやっていて、掲示板に呼ばれた事も何度かあったが、結局、宗教とかの危ない奴らだった。

 しかし、今、パソコンの向こう側には、自分と同じ、超能力者がいる。根拠は無いが、自分の直感は良く当たる。落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かしながら、花宮は、震える手でキーボードをまた叩き始めた。

 私、どうすればいいんですか? HNフラワー

 始めに何を尋ねようか、簡単な事から聞こうか、花宮は、迷っていたがこの言葉を打っていた。

 花宮は、突然超能力を持って戸惑っていた。

 誰かに救いを求めていた。

 しかし、超能力のことだ、なんて言っても、真剣に取り合ってくれないだろう、だから夏休みに調べてみよう。

 花宮は、そんなことを思いながら、夏休みまでの間、悶々とした日々を過ごしていた。

 超能力を手に入れたあの日を思い出しながら。










 花宮は、1ヶ月程前、部活が終わり家路に着いていた。

 夏も本格的に始まり、ただ歩いているだけで、汗がにじみ出るほどの暑さで、首に掛けたスポーツタオルで汗を拭きながら、家に帰ろうとしていた。

 しかし、今日は暑いので花宮は、いつもの道とは違う、日陰が多い裏通りから帰っていた。

 ある工事現場の前まで来た時、数メートル先では、歩道の壁に工事で使う鉄の棒が何本も立て掛けられていて、その前で子供が歩道に落書きをしている。

 危ないなぁと思いつつ、花宮は通りすぎようと少し横に寄った瞬間、鉄の棒の10本程が、ゆっくりと倒れだした。

 子供は状況が理解できないのか、倒れてくる鉄の棒をポカーンと口を開けたまま見ている。

 それを見た瞬間、花宮はカバンを捨て走り出した。 日頃陸上部で鍛えた足で、子供に鉄の棒が落ちてきた時に、飛び込んだ。

 後ろからガランガランと鉄の棒が落ちてくる音を花宮は子供を抱え、地面に倒れこみ聞いている。

 間一髪だったと花宮がホッとして、起き上がりながら、抱えこんだ子供を見た時、子供は花宮と目を合わせず、花宮の肩口から何かを見ている。

 何を見ているのだろう?と花宮が後ろを振り返ると、さっき倒れてなかった鉄の棒がすぐ目の前まで来ている。

 花宮は、恐怖で動くことが出来なかった。

――さっきこの子、こんな感じだったんだ

 花宮は、何とか震える体を動かし、子供庇うように抱えた。

(お願い! 止まって! 止まって!)

 ギュッと目を瞑り、花宮は、叶わないと分かっていながらも、その叶わぬ願いを必死に唱え続けた。

 私、死ぬんだなぁと花宮が思った時、すぐ横で声がした。

「お姉ちゃん、魔法使いなんだぁ」

 子供は、まだ花宮の肩口から鉄の棒を見ている。 花宮が振り返ると、鉄の棒は花宮達に当たる、すんでのところで、まるで時が止まったみたいにその動きを止めている。

 花宮は、あんぐりと口を開けていたが、急いで子供を抱え、その場を離れた。 鉄の棒は、鉄の棒の落下点から、花宮が居なくなるのを確認したかのように、動き始めて地面に倒れた。 その光景を花宮は、子供を降ろしながら見ている。 子供は地面に足が着くと、いまだ状況が理解できない花宮に向かい

「ありがとう! 魔法使いのお姉ちゃん」

 と言ってどこかに去って行った。

 数分たった頃、工事現場の中から人が出てきて、倒れている鉄の棒にびっくりしていた。

 多分、工事現場は厚い壁に囲まれていたので、聞こえなかったのだろう。

 工事現場の人がせっせと鉄の棒を立て掛けている時、とにかく帰ろうと花宮は思った。













 これが1ヶ月前、花宮が能力を手に入れるきっかけになった出来事だった。

 その後、花宮は、いろいろと自分の能力を実験して見て、どうやら念じたものを動かせるという、ありきたりな能力という結論にたどり着いたと同時に、超能力を持ってしまって、普通の人間とは違う存在になった自分を恐れて、能力をそれから一切使わなくなり、現在に至る。

 時間が無いので一度会ってみませんか? 上にある数字が0になると自動的にこの掲示板は消えるようになっているので、詳しい話はその時ということで HN黒

 花宮が、上にある数字を見てみると、2になっていた。

 花宮は、いきなり会うと言われたが、迷いわしなかった。この人は、何故か判らないけど信用できると思っていた。

 分かりました。どこで待ち合わせにしますか? HNフラワー

 じゃあ、あなたの家の近くにある。moveっていう喫茶店を知ってる? HN黒

 何故、自分の家の場所がわかったんだろう?そんなことを思いながらも花宮は、気にしなかった。

 知っています。 HNフラワー

 そこに明日の朝10時に一番奥の席に来て、じゃあまた明日 HN黒

 そう出たと同時に、掲示板は消え、もとの掲示板に戻って来ていた。

 花宮は、パソコンの電源を落として、ベッドに寝転んだ。

 明日か、いい人だろうな〜、そんなことを思って、明日が待ち遠しくなった花宮は、安堵からか朝から忘れていた事を思い出した。

「お腹空いた」

 ぼそりと呟くと、ベッドから立ち上がり、部屋を出て

「ご飯まだ〜」

 と叫びながら、花宮は階段を降りて行く。

 明日に一つの希望を抱きながら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ