表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイコテロ  作者: 心楽
39/39

エピローグ

 バベルで行われたテロ事件は新聞やテレビに報道されたが、何故か全国のテレビをジャックしてテレビに映った主犯の人間の顔を誰も覚えていず、この事件は犯人がわからないまま、迷宮入りになった。

 ――それから、二年後



 ◇夏樹◇

「夏樹先輩」

 夏樹の前には、一人の少女が立っている。

「これ、受け取って下さい」

 いきなりの事に戸惑いながらも、夏樹が少女が出した手紙を受け取ると少女は走り去っていった。

 夏樹は手紙をジッと見つめ恥ずかしげに笑う。

「こんな、普通の学校生活を送れるなんて」



 ◇三人組+1◇

 静かにすることがルールの図書館で、水谷が叫んだ。

「わかんねーよ!」

 白い目で見られる水谷の頭を、竜介が小突く。

「静かにしろ、図書館だぞ」

「わかんねーんだから、仕方ねーだろ」

 頭を擦りながら、水谷は口を尖らす。

「大学行く気ないのか?」「あるよ」

「じゃあやるぞ」

 水谷を真ん中に、竜介と馬島は座っている。

「今日はもう一人呼んだからな」

「まだ呼ぶのか!?」

 絶望的な声を上げる水谷を見て、竜介はニヤリと笑う。

「四人寄れば文殊の知恵」

 そう言った竜介を冷たい目で見ると、水谷は大きなため息をつく。

「うまくねーよ。バカか竜介?」

「ぶっ飛ばすぞ」

 そんなやり取りに、以前通り馬島は笑っている。

 しかし、以前と違うことが一つある。

 その違う一つが、三人に声をかけた。

「来ましたよ。竜介先輩」

 今年この高校に入学した花宮だ。

 水谷は花宮を鼻で笑い飛ばす。

「笑わせんなよ。こんな、ガキに何ができ……」

 水谷を黙らせるように、大きな音を立て水谷の机にビニール袋が置かれた。

「竜介先輩、重かったんですからねー、これ」

「ありがとう。金は水谷が払うから」

 水谷は恐る恐るビニール袋の中を覗くと、そこには、新品の問題集がぎっしりと入っている。

 現実から逃げるようにビニール袋から目を逸らし、水谷は呟く。

「……受験生は大変だ」










 ◇孤児院◇

 子供が走り回る中、氷室は髪をかきあげ、茜に声をかける。

「よくこんなもの造ったな」

「だって、吉備さんの夢がこれでしたから」

「そうか」

 氷室は小さな孤児院の中を見渡す。

「で、話ってなんだ?」

「一緒に孤児院で働きませんか」

「……何でだ?」

「子供たちに笑い与えられますよ」

「……罪の償いが、これか」

 氷室はぶつかってきた子供を優しく立ち上がらせる。

「確かにこう言う償いも悪くない」







 ◇桐谷と黒瀬◇

「んっだ、コラァ!」

 チンピラが鉄パイプを振り上げ、桐谷に襲いかかるが、桐谷の一蹴りでチンピラは伸される。

 数十人のチンピラが倒れている中、桐谷は肩を回す。

「この街は俺が守る」

 桐谷は隅で座っている女性に気付き、近づいていく。

「大丈夫ッスか?」

 桐谷は女性に声をかけ、手を差し伸べる。

 女性はその手を取り、立ち上がる。

「ありがとうございます」

 深々と頭を下げる女性に、桐谷は慌てる。

「いやいやいや、そこまでしなくても、顔を上げて!」

 女性が顔を上げ、暗がりで良く見えなかった顔が見えた瞬間、桐谷は条件反射で口を開いた。

「結婚して下さい」

 いきならプロポーズを受けた女性は目を大きく見開く。

 桐谷の顔は自分がバカな事をしてしまった事に気づいて、みるみる真っ赤になっていく。

 そんな自分より年下のような桐谷を見て、女性、黒瀬は笑った。







 ◇佐藤◇

 ある家の一室では家具は舞い、食器が割れる中、夫婦はそれから身を避け、一歳になる男の子は部屋の真ん中で笑っている。

 男の子の母親は心配そうに横にいる男の子の父親に話しかける。

「いい加減、近所にバレるわ」

「大丈夫だ。今日、依頼した人が来てくれる」

 その時、家の玄関で音がした後、部屋に男が入る。

「すいません、少し遅れました」

 髪を伸ばし放題の男は頭を下げると、父親と母親の間に入る。

「あの子ですか?」

「はい、宜しくお願いします」

 母親がすがるように男にしがみついたが、飛びかう家具や食器から目を離した瞬間、側頭部に食器が飛んできた。

 それを器用に男は掴むと、死にかけた母親に言い聞かせる。

「気は抜かないで下さい」

 男は立ち上がると、男の子に向かい駆ける。

 飛んでくる家具や食器を避け、男の子の頭に男は手を置いた。

 その瞬間、家具や食器は地に落ちる。

 父親は唖然とした顔で言う。

「あなたは何者なんですか?」

「私は消し屋です」

 佐藤は男の子と視線を合わし、微笑む。

「良かったな」


やー、終わりましたね。ども、心楽です。

 僕の初長編であり処女作をここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。どうでしたか? 楽しめました? 楽しめたならとても嬉しいです、楽しめなかったならすいません、次の作品に期待してくれたら嬉しいです。

 良ければ感想・評価をして下さい。それを含め、次の作品に取りかかります。また、お前はこんな作品やれば面白いんじゃね? みたいなのもどんどん言って下さい。本当にありがとうございました。また、宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ