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サイコテロ  作者: 心楽
29/39

合図

ヤバいです! 部活が忙しくて中々書けない(汗)。しかし、頑張りますのでよろしくお願いします! 評価感想待ってます! では、心楽でした。

 ◇バベル最上階◇

 伊藤は深々とイスに腰をかけ、自分を巻き込んだ数奇な運命を思いだす。




 愛する妻と結婚してもうすぐ子供も生まれる予定で、警官として働きながら、伊藤は充実した日々を過ごしていた。

 そんなある日、殺人事件が起こり、その犯人が逃げたと思われる山に、伊藤は数人の警官と一緒に来ていた。

 伊藤達が探していると、ある洞窟が見つかり、もしかしたら犯人がいる可能性もあるため、伊藤達は入って行った。

 奥まで行くと洞窟は行き止まりだった。

 伊藤は溜め息をつき、引き返そうとすると地面が揺れる。

 数秒で揺れは収まったが、天井から土が降ってきたと思うと、洞窟内で大きな音が響き渡り、洞窟は崩れる。

 伊藤達は慌て頭を抱え、座り込む。

 何分たっただろうか、伊藤が顔を上げると、洞窟は閉ざされ、引き連れていた警官の死体が転がっていた。

 伊藤はすぐさま携帯を取り出し、電話をかけようとするが、圏外であった。

「くそ!」

 伊藤は携帯を地面に叩きつける。

 その拍子に携帯が開き、待ち受けにしている綺麗な女性の笑顔が目に映った。

「私は死ねない」

 数日後、伊藤はまだ生きていた。

 しかしまだ助けは来ず、伊藤は出来るだけ体力を使わないように、洞窟でずっと座り込んでいた。

 唇も渇き、もう死を迎えそうになっている伊藤の目に、警官の死体が目に入る。

 死臭を漂わせている死体が、伊藤には食べ物に見えた。

「…私はまだ死ねないんだ」

 伊藤はゆっくりと、ゆっくりと死体に近づき、その横にひざまずく。

 パックリと割れた頭から出ているグロテスクなものに、口を近づけていく。

 部下の死体を喰う。

 そのことに、伊藤は何も感じていなかった。

 伊藤は昔から、自分以外の人間に何かしらの感情も抱いたことが無かった。

 自分が人より優れていることに、伊藤は幼稚園のころには気づいていた。

 一回本を読めば九割方、内容を把握出来るし、説明や動作を見ただけで、運動も軽くこなせ、人間関係も縺れもなく、他人から優しく頭がいいカッコいい人間だと思われていた。

 伊藤が中学生の頃、両親が死んだが、伊藤は何も感じないどころか、親がいなくなったことでしたいことが出来ると感じた。

 その頃にはもう、伊藤は自分以外の人間は、自分を高みへ登らす生け贄であり、道具であるという考えにたどり着いていた。

 しかし、そんな伊藤の前にある女性が現れた。

 大学で出会ったその女性に、伊藤はいつもの笑顔で会釈し、女性はその笑顔を見て言った。

「嘘の笑顔は見せないで、気分悪いわ」

 伊藤の笑顔を見せれば、大抵の人間が好青年という第一印象を受けるが、目の前の女性は違った。

 伊藤は頭を殴られたような衝撃が走り、今まで自然に作り慣れていた笑顔が、突然ぎこちなく感じた。

 去っていく女性の後ろ姿を見ながら、伊藤はその女性に一目惚れした。

 そして、伊藤は女性に積極的にアプローチし、結婚した。

 彼女の為だけに、生きようと誓った。










 伊藤は警官の脳を口に含み噛んだ瞬間、色んな人間の顔や名前、景色や風景、経験が頭に飛び込んでくる。

 ――何だこれは?

 伊藤の疑問を、頭の中に流れる映像が解決した。

 伊藤の後ろ姿を見て、山を歩いている映像。

 ――こいつの記憶や経験が頭に入っているのか?

 口にあるものを飲み干すと、体に一気に活力が戻るのを感じ、伊藤は立ち上がる。

 辺りを見渡すと、他の警官の死体が転がっている。

 ――試してみるか

 伊藤は生きるため、これが何なのか知るため、脳を喰うという実験を開始した。

 数日後、瓦礫が退けられ、洞窟から伊藤は助け出された。

 そして、伊藤は自分は人の脳を食べると、人の経験や記憶を取り入れられるということが分かった。

 数年後、子供が二歳の頃、伊藤の妻が原因不明の爆発事故で死んだ。

 伊藤は妻がどうして死んだのか、妻の脳喰うことで理解した。

 妻を殺したのは、手から炎を出す超能力者だった。

 伊藤は警察の上層部の人間から、超能力者という存在を知らされた。

 伊藤は数日後、その超能力者、間柱斗怒呂を背後から撃ち殺し、脳を喰った。

 そして、間柱の記憶から、妻が死んだのは銀髪の超能力者との闘いに巻き込まれたためだと知った。

  伊藤は間柱の脳を喰った所為で、唇から滴り落ちる血を拭い決意する。

 妻を奪った超能力者を全員殺す、一匹残らずと。

 無意識に地面についていた手から炎が吹き出した。

 伊藤は喰った相手の超能力を奪うことも学習した。

 伊藤はすぐにSTCを立ち上げ、超能力者狩りを始めた。










 背後で窓ガラスが割れた音がし、伊藤は振り向く。

 そこには、桐田が立っていた。

「別にさ、あんたが何しようといいんだけどさ、この街の平和を壊すなら、あんたを殺す。それが、赤い悪魔の役目だ」

 伊藤は勝手に話だす桐田に向かい合い、手から炎を吹き出し、臨戦態勢に入る。

「……っと、思ってたんだけどさ」

 桐田も手から炎を吹き出す。

「やっぱ、間柱さんの弔い合戦だ。その方が気分が出る」

 伊藤と桐田は近づいて行く。

 最初はゆっくり、段々とスピードを上げて。

 伊藤の炎と桐田の炎がぶつかり合い、開戦の合図というには少し派手過ぎる爆発が起こって。

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