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サイコテロ  作者: 心楽
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来週、再来週とテストとテスト前なんで更新できないかもしれません。大変申し訳ありません。

 刀が石山の首を薙ごうと迫るが、石山はしゃがんで避け。

 曲げている足を引き延ばし、南雲の腹に頭突きをしかける。

 が、南雲はその頭にひざげりをして距離を置き、南雲は言う。

「硬いなてめーの頭、膝が割れそうじゃねぇか。まぁ、硬くなったからって体重まで増えないのは嬉しいな」

  頭を手で軽く叩きながら石山は立ち上がる。

「良かったですね、でも刀は効きません、もちろん銃も。どうやって私を倒すつもりですか? 私は死にたくないから戦ってあなたを倒します」

 その目には南雲と出会った時のおどおどとした感じは無くなり、恐怖を秘めながらも決心したような目だった。

「だからどうした?」

 楽しそうに楽しそうに南雲は言う。

「だからどうしたってんだ! 銃が効かないからどうした!? 刀で切れないからどうした!? てめえがどんだけ硬かろうが俺は殺す! 能力者と戦い勝つ。それが、それだけが、俺を楽しませるんだ!」

 今までの速さより、より速く石山に近づき跳んだ。

 空中で刀を上段に構える。

 それを受け止めようと石山は手を十字に構え、頭の上に出す。

 南雲は刀を石山に振り下ろさず、石山を蹴った。

 石山の体が吹き飛ぶ。

 南雲は片足が地面に着いた瞬間また駆け出す。

 石山が立ち上がり前を向いた瞬間、

「一個、もらうぜ?」

 南雲の指が右目に迫る。 しかし、南雲の指は止まった。

「ちっ」

 舌打ちをすると南雲は離れる。

「確かに私は目や口の中は硬く出来ません。でも、瞼や口を閉じればいいだけです」

「マジで、結構やるな。だけどな、甘ぇよ」

 石山の肩から南雲のものでない腕がいつの間にか飛び出し、その手に握られているナイフが石山の右目の下に突きつけられる。

 ナイフが右目を貫いた。

「うああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」

 石山の絶叫が人通りの少ない道にこだまする。

「ナイスだ佐藤」

 南雲がナイフを持つ佐藤に近づく。

 南雲は石山を右目を押さえ叫んでいる石山を地面に倒し、上半身の上に乗り、腕を押さえる。

「佐藤、お前が殺れ、最初の仕事だ」

 佐藤は右手で石山の瞼を強引にこじ開け、左手でスーツの内ポケットから銃を取り出し、右目に突き付ける。

「私が、私が何をした!?」

「人を殺した」

「違うあいつは私が超能力があるとわかった瞬間、僕を変な研究所に連れて行き、金を貰おうとしたんだ! だから、だからだ! お前らも一緒だ! 私が超能力を持っているとわかった瞬間殺そうとして……私だって誰にも気付かれずに平凡に生きていきたかったんだ!? 今までだってこれからだって平凡に生きるつもりだった私が、何故殺されなければならない!?」

 涙を流す石山の言葉を黙って聞いていた佐藤がゆっくり口を開く。

「関係ない」

「なんだと!?」

 反論しようとする石山の右目に、銃を強く押し付ける。

「関係ないんだそんな事。今までだってこれからだって平凡に生きるつもりだとか、関係ないんだ」

 ゆっくりゆっくり佐藤は言葉を紡ぐ。

「今まで何人が死んだと思う? 何人が悲しんだと思う? 何人の平凡に生きて平凡な幸せを掴むはずの命が失われたと思う? 何人が大切な人を失った事で人間らしい感情を消したと思う? 俺もその一人だ。お前らを殺すために仕事も家も感情も何もかも全てを捨てたんだ。そんな俺のような人間を生み出したのは誰だか知っているか? お前ら超能力者だ。その人間を簡単に殺せる脅威的な能力を持っている時点で、お前らは人間じゃなく、他の凶暴な動物と一緒、いや、それ以上だ」

 佐藤は冷たく言う。

「お前らの存在自体が殺されるべき対象」

 引き金に指を掛ける。

「悪なんだ」

 銃声が暗闇に鳴り響いた。






 花宮と黒瀬は茂みに隠れて様子を見ていた。

 銃声が鳴った時、花宮は飛び出しそうになったが、黒瀬が抱きしめて止めた。

「希美さん、離してください」

 花宮が黒瀬の腕の中でもがく。

「それはできないわ。今、唯ちゃんが出て行っても殺されるだけよ」

「でも」

「石山さんが殺されてしまった事を、神様に報告しに帰りましょう」

「そんな……」

 花宮は顔を伏せる。

「あなたはこの組織に入ると決意したんでしょう? 人が殺されるのを見る事もあると分かって入ったんでしょう? 誰かを助けようとする事は、誰かの死を見なければならないかもしれないの。その覚悟できてないなら組織を止めたほうがいいわ」

 黒瀬の言葉に何かを思い出したように花宮は顔を上げる。

「すいません。覚悟を忘れてました。ありがとうございます」 黒瀬が花宮の涙を指で拭い笑いかけた時、

「おい、誰かいるのか?」 茂みの向こうから刀を握った男が声をかけてきた。 男から花宮達は見えず茂みに向かって話しかけているような感じだ。

「唯ちゃん、手を握って!」

 花宮は良く解らないが慌てて手を握る。

 その瞬間、視界に入っていた景色が消え、瞬きする間に違う景色が広がっていた。

 花宮は赤いスポーツカーに座っていた。

「これは?」

 花宮は何が起こったか分からず、混乱している。

「私の超能力よ」

 立ち上がり、茂みに隠れていたせいで髪や服に付いた葉を取りながら黒瀬は言う。

「瞬間移動。これが私の超能力。と言っても、半径ニキロメートルまでだけどね。半径ニキロメートルまでにある物や場所、人物などを思い浮かべたら瞬間移動できるの」

 そう言いつつ、黒瀬はエンジンをかける。

「帰りましょう」

 黒瀬はアクセルを踏み込んだ。







 道には二人の人間がいた。

 何か黒い影が二人に襲いかかる、ところで吉備は目を覚ます。

「起きたか?」

 ホテルの一室で、氷室がカーテンを開けながら吉備に呼びかける。

「あ、はい。茜は?」

「もう起きて待っている」

「そうですか……」

「どうかしたか? もしかして何か見たのか?」

 吉備の何か引っ掛かるような表情を見て氷室は言った。

「いや、別に特にないです。予知じゃないですよ」「そうか、それならいいんだが。何か見たら言えよ。後、分かってるだろうが、お前は留守番だぞ」

「はい。分かってます」

 そう言って氷室は部屋を出た。

 吉備はバタリッと後ろのベッドに倒れこみ、天井のライトを見上げる。

「俺はお留守番か……」









「おはようございます」

「あぁ」

 氷室がホテルの一階に降りると、フロアで待っていた茜が丁寧に挨拶をする。

「吉備さんは?」

「留守番だ」

 ホテルの自動ドアに歩きながら二人は会話する。

「吉備の能力は戦闘向きじゃないからな」

「確かにそうですね」

 自動ドアが開き、二人は外に出る。

「じゃあ任務開始だ」

「まずはどこに行きますか?」

「国関連の施設を回ろう」

「了解しました」

 二人の後ろ姿は見えなくなった。

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