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サイコテロ  作者: 心楽
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追う者・追われる者・探す者・祈る者

 心楽です。先週は更新せず大変申し訳ありませんでした! 部活の大会があったため忙しかったです。たまにこう言う事があると思いますが、暖かい目で見守って貰えたら嬉しいです。

 花宮が黒瀬の車で待ち合わせ場所に着いた時、喫茶店の周りには人垣ができていた。

 花宮と黒瀬が車から飛び出し、人垣を押し退け一番先頭まで行くと、そこには二人の警官と喫茶店の店員と思われる男が割れたガラスの前で話している。

 状況を確認しようと、黒瀬は隣の男に話しかける。

「何があってんですか?」

「ああ、何か喫茶店に来ていた客がいきなりガラスを破ってあっちの方へ走りだして」

 男は喫茶店を出て右に曲がった道に指を差す。

「そいつの隣にいた二人の黒いスーツの客がそいつを追いかけ始めたんだ。まあ多分逃げた客は黒いスーツ来てた奴らにでも借金してたんじゃないかな」

「そうですか、ありがとうございます」

 黒瀬は素早くお辞儀をすると花宮の手を掴み車に戻る。

 そして、エンジンをかけると直ぐさま、男が指を差していた方向に車を動かし始めた。

「最悪ね」

 黒瀬が呟くと花宮も頷く。

 黒瀬も花宮も顔から血の気が引いている。

「石山さんが見つかった」




 佐藤に自転車を奪われたサラリーマンは、相手の会社の商談場所に遅刻して入った。

「すいません!」

 もうすでに座っていた相手会社の二人に一礼をして、同じ会社の同僚の隣にサラリーマンは座る。

 すると、相手会社の若い男が、馴れ馴れしく話しかけてきた。

「遅かったすね〜どうかしたんすか?」

「ああ、まあ」

 サラリーマンは信じて貰えないと思いながらも、遅れた経緯を話した。

「んなバカな話あるかよ!」

 サラリーマンの同僚は彼を叩いた。

「まあ、いいじゃないすか、ねぇ部長?」

「そうだな」

 若い男に話しかけられ、年配の男は答える。

「あのーあなたが佐藤さんですか?」

 サラリーマンは若い男に聞く。

「あっ違います。僕はその後輩だった桐田です」

「だった?」

 サラリーマンの質問に年配の男が答える。

「仕事を止めたんですよ」 若い男、桐田は手を打って言う。

「じゃあ商談始めますか」







 佐藤は自転車に乗ると南雲に追い付き、並んで走っている。

「どうだ?」

「まかれたな、くそ! めんどくせー! 二手に分かれて徹底的に探すぞ!」

 南雲は佐藤に叫ぶと人混みの中に入って行った。

 佐藤はその後ろ姿を確認すると南雲とは別の方向に走って行く。

 片手で携帯を取り出し、自転車で走りながら本部に電話をかける。

 ワンコールで相手は出る。

「佐藤さんご用件を」

「新宿で能力者を見つけた。駅や道路から逃げないように塞いでくれ」

「わかりました。近くの情報部隊を向かわせます。頑張ってください」

「ああ」

 佐藤は電話を切ると周りを見ながら走る。

(相手の移動手段は封じた。石山は新宿から逃げられない。もし逃げようとしても情報がすぐに回ってくる。俺がやることはゆっくり探すことだ。時間をかけ、石山が新宿から出た時に情報が回ったら南雲と一緒に殺しに向かう)

 佐藤は冷静に思考を巡らせながら、周りの人混みに注意を向けながら自転車で走っている。







 石山は南雲をまいた後、ネットカフェに隠れていた。

 下手に動くより、隠れる方が難を逃れられるかもしれない。

 そして、新宿にいたら今日会う予定だった人に助けてくれるかもしれない。

 ただの仮定に過ぎないが、石山はこの二つを信じて隠れている。

 だが、石山が隠れてから時間後、もう夜になっていた。

 石山はここに隠れていてもらちが開かないと考え、新宿から出ることに決めた。

 石山が店を出て歩き始めてからどれくらいたったのだろうか、恐怖と恐怖と恐怖で石山は、時間の感覚を無くしている。

 しかし、心の動揺とは逆に、体は周りに行き交う人と同じように自然に歩けていた石山の肩に手を置かれた。

 石山はビクッと体を震わし、ゆっくりと肩を叩いた人物の顔を見る。

 しかし、肩を叩いた人物の顔を見て見るが、石山の知っている顔でも無く、黒い服を着てる訳でも無くラフな服装をした青年だった。

「なんの用で

「石山圭吾だな?」」

 石山が安心し、口を開き喋ろうとした時、青年は石山の名前を出した。 あっけに取られ、口を開けたまま石山に青年は言う。

「見つけたぞ、超能力者」 石山の中の警報がガンガンと鳴り響いた。

 石山は青年を突き飛ばすと逃げた。

 突き飛ばされた青年はゆっくりと立ち上がり、服をはたく。

 ズボンのポケットから携帯を取り出すと電話をかけた。

「もしもし、佐藤さんですね? 石山が新宿から出ました。発信器を付けておいたので向かって下さい」

 青年は携帯を切ると人混みの中に姿を消した。

 数分後、石山は歩いていた。

 人通りの少ない道路を歩いていた。

 前から人が来たが、下を向き歩いていた。

 前から来た人とすれ違う時、下を向いていた視界に何が光る物が見え、歩くのを止めた。


ガキンッ


 石山の顔に何がぶつかり、金属音が道路に鳴り響く。

 石山が逃げようとした瞬間、背中を蹴られ数メートル先に転がった。

 立ち上がりすぐに逃げようとしたが声をかけられる。

「発信器を付けられてるぜ、逃げても無駄だ。死にたく無かったら戦え、月並みのセリフだ。だけど言ってやる。俺と戦え!」

 石山がその人物を顔を見る。

 それは石山が今、一番会いたくない男の顔だった。 手には日本刀を持ち、暗闇に溶け込みそうな黒いスーツを着た南雲が笑っていた。獣の様に。







 南雲は暗闇に向かって話しかける。

「佐藤。多分石山の能力は体を硬化させることだ。跳弾して俺に当たったら嫌だから援護は要らないぜ」

 南雲は石山の方に向き直り、

「しかしお前、中々やるじゃねえか。ずっと超能力を発動してるなんてよー」

 駆け出した。

 走りながら、日本刀の先を石山の喉元に狙いを定め、突いた。

 しかし、金属音と共に石山の上半身を少し仰け反らしただけだった。

 石山は日本刀を掴み、引っ張った。

 日本刀と共に来る南雲の顔に拳を振るったが、南雲は日本刀を放し、地面を蹴って石山の上に跳んだ。

 石山の視界に黒い革靴が飛び込んで来た。

 その瞬間、石山は後ろに蹴りとばされた。

 南雲は地面に着地して、日本刀を拾いながら言う。

「喧嘩も中々やるじゃねぇか」

「昔、少々」

 石山は次の攻撃に備えるため構える。

「そうこなくっちゃな!」 南雲は日本刀を両手で持ち、駆け出した。







「どこなんですか!? 石山さん」

 黒瀬が石山に何回も電話をかけるが電話に出ない。

「悪いことが起こってなければいいですね」

 花宮は現時点で叶わない願いを祈る。

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