刹那荘の住人達
最後まで面白おかしく色々なことを思いながら読んで下さると嬉しいです。あと、桐たんぽさんの「刹那荘」とは無関係なので気にしないでください
プロローグ 刹那荘の日常
・・・・・朝だ
刹那荘の朝が来た
俺はベッドからおりようと布団をはがす
「なんか違和感があると思ったら、お前か」
そこには俺、もとい松島 海のしがみつき、猫のように寝ている女の子がいる
「寝ていれば可愛いのに」
彼女もまた、刹那荘の住人で七誌高校の生徒そして俺のクラスメイトの浅堀 優菜だ
つい最近転校してきた常識知らずの浅堀は同じ荘に住んでいる俺が色々教えている
こんな状況も既に慣れっこだ
「おい浅堀、朝だぞ」
浅堀の頭を軽く叩いてみる
・・・・・目が開いたが、すぐに閉じた
「二度寝かよ。まあ、春休みだしいっか。とりあえず俺も二度寝しようかな」
もう一度布団に入ろうとすると
「フシャー」
追い返された。いつもの事だけど
「仕方ない顔洗いに行くか」
俺がベッドからおり、歩こうとすると
服を掴まれた
「放してくれ浅堀顔洗いに行けないだろ」
暖かそうな布団の中から伸びている手を掴む
「待ってよ海、私も行きたい」
「じゃあ布団から出ろ」
・・・・・出る気配なし
「仕方ない、強硬手段だ」
俺は布団を掴み、勢いよく引っ張る
すると中から浅堀が出てきた
「また寝てるし」
俺は布団を床に置き、窓を開ける
春らしい生ぬるく気持ちいい風が入ってくる
「さ、寒いよぅ」
浅堀の体が震え、丸く小さくなる
猫みたいだ
「起きろ浅堀顔洗いに行くんじゃないのか」
浅堀の体を揺さぶる
「海ー、連れてって」
浅堀が子供のように手を伸ばす
「明日からは自分の部屋で自分で起きろよ。小学生じゃないんだから」
仕方なく手を掴み引っ張る
「んー」
話を聞いてないかのような返事が返ってくる
だらしないなあ
階段を下りて洗面所へ向かい、顔を洗う
そのままリビングへ向かう
「あの人たちは何をしているんだ」
リビングでイチャコラしている2人がいる
いや、イチャコラではないな、うん
正しくは襲われている・・・・・?
「何してんですか、真子さん」
刹那荘の住人で大学二年の五十嵐 真子さんが同じく大学二年の戸村 伸さん夜這い、ではなく朝這いをしていた
「か、かかか海君と、ゆゆ、優菜ちゃん!?」
顔を赤くしながら手をパタパタしている
「襲うなら夜にすればいいと思う」
優菜が追い討ちをかける
「べ、別に襲ってな、ないよー?!
ただ、伸くんが起きるの遅いから起こしてあげようと・・・!」
「はぁ、そうですか。仲良しですもんねそんなに仲いいなら付き合えばいいじゃないですか?」
俺がため息を付きながらさらに追い討ちをかける
「わ、私だって出来るならそうしたいし・・・・・っていうかそんなことを言っている君たちも付き合えばいいじゃないか!」
顔を真っ赤にして仕返しをしようとしてくる
「いや、別に俺達はそういうんじゃないんで付き合いたくは無いもんな、優菜」
「・・・・・・むぅ」
優菜が不満そうに頷く
そんな感じのいつものやり取りをする
「皆、ごはん食べようよ~」
ドアから大家さんの大板 佳代さんが朝ごはんを持って入ってくる。ちなみに佳代さんは結構若くて、親が作ったこの刹那荘を貰ったらしい
「「はーい」」
みんな揃って返事をする。いつの間にか伸さん起きてるし
ご飯中は皆ふざけたりとかはしないのだが、優菜がやたら俺に野菜を押し付けてくる
「海、あ〜ん」
野菜を食べさせようとする
「それぐらい自分で食べなさい」
「・・・・・むぅ」
嫌そうに優菜が人参を食べる
「海、あ〜ん」
次はブロッコリーを食べさせようとしてくる
「お前はいちいちそれをしないと食べれないのか」
「・・・・・むぅ」
こんなのがほぼ毎日続く。まあはじめの方は食べてあげていたからこうなったのだが
「やっぱり今日も来ないですね翠さん」
ドアを見ながら皆に聞いてみる
「お姉ちゃんの事だからどうせゲームで徹夜か、仕事で夜更かしでしょ?」
真子さんがご飯を食べながら答えてくれた
「姉妹とは思えないほど性格違いますよね真子さんと翠さん」
お茶を飲みながらきいてみる
「私もそれ思った」
浅堀もどうやらそう思っていたらしい
「なんだかんだいって仲いいからいーの」
真子さんが嬉しそうな顔をして言う
「いいですね、なんか楽しそうで」
本当に羨ましいなと思っている
「あれ、たしか海君に妹いたよね?」
「・・・・・嘘ついたの?」
皆俺のことを睨み気味で見てくる
「あ、あいつは一応義理ですし、あいつは俺のことを兄と思っていないんですよ」
「・・・・・へー」
睨む目が可哀想な人を見る目に変わった
「そ、それじゃあ俺は部活に行きますね」
カバンを取りに立ち上がる
「待ってよ海、私も一緒にいく」
後ろから浅堀が歩いてくる
「まあ、海君にとっては優菜ちゃんが妹みたいなものなのかな」
リビングからそんな会話が聞こえてきた
「それじゃ、行ってきます」
「・・・行ってきます」
俺は玄関のドアを開けた
「楽しんでらっしゃい」
玄関で佳代さんがそんなこと言った
これが刹那荘でのいつものやり取りだ
読んでいただきありがとうございます初めての作品だったので面白く出来ているのか不安だったのですが楽しんで頂けたのなら良かったです次期作はいつ書くか分からないので気ままにお待ちいただけるとうれしいです