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プロローグ

「さぁ、力を望むのならば、俺の力を使うが良い! 魔王となって勇者を倒すのだ!」

「…………」

 俺は何かに囚われたかのように一歩一歩魔王の元へと進んで行く。玉座の間に俺の足音だけが反響する。目の前に掲げられた魔王の手が蜃気楼のように揺れる。

 何が正しいくて何が正しくないのかは既に分からない、ただ俺の頭にあったのは勇者の事のみ。

 勇者が憎い。俺から全てを奪った勇者が憎い。アイツさえ、アイツさえ現れなければ!アイツが憎い。憎い。憎い。憎い!

理性を失い本能に従うがままに、差し出された魔王の手を握る。次の瞬間、辺一面藍色の闇で覆われ俺の意識は闇の中に溶けていった。

そして俺は消えゆく意識の中で、走馬灯の様に昔の事を思い出す。

そう、全てあの日から始まった……。


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