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今日は視察も無事終わって、久々の休日。
料理教室の準備が出来る最後の日だ。
次のお休みには料理教室が始まる。
うう。もうちょっとゆっくりでもいいのに。
休みの時は休もうよ。
いや、クルビスさんとの共鳴のおかげで身体の調子はばっちりなんですけどね?
ほら、心のゆとりっていうかさ。
リラックスしたいんだよねえ。
ついこの間まで忙しかったからなあ。
まさか、コンテストの開催時期がこんなに忙しいなんて思わなかった。知ってたら、もう少し後にしたのに。
でも、ウジャータさん曰く、コンテストが終ってすぐの方が次の仕事が入ってないから、料理教室に来る調理師さん達も受けやすいとのこと。
無理をしてでもこの時期が良いのだそうで。
それを聞いて、今みたいに心の中では休みたいなあと思いつつも、挨拶の練習やレシピの見直しなんかは頑張ることにした。
実際、実績のない素人が教えようっていうんだから、調理師の皆さんにとってもなるべく暇な時がいいよね。
少しでも私に有利になるようにして下さってるのがわかるから、私も頑張らないと。
身体を伸ばしつつ、気合を入れ直す。
「ハルカ。仕度は出来たか?」
「クルビスさん。ええ。もういつでも出られます。」
クルビスさんに声をかけられ、一緒に守備隊の転移陣の部屋へ向かう。
今日はこれからウジャータさんの料理教室に向かう。
場所をお借りするにしても下見はしたいと思ってたら、向こうで手配して下さっていた。
ちなみに、それらの連絡役は息子のルドさん。お世話かけます。
クルビスさんは例の夢のせいで、調理器具がたくさんある場所に私を行かせるのは反対で、行くなら一緒に行くと言って今日は一緒におでかけだ。
周りには蜜月だからで通してる。こういうとき便利だなあ。
「それじゃあ、行くか。」
そう言って差し出される両手。
そのまま、クルビスさんに抱えられて下に降りる。
緊張してるはずなのに、気持ちが楽になるのがわかる。
知らない間に共鳴してる。でも、今回はクルビスさんの気遣いだな。
私の魔素が緊張と不安で揺れないように、穏やかにしてくれてるみたい。
ふふ。リラックスしたいなんて思わなくても、もうリラックスしてるし。
うん。癒しはクルビスさんに任せよう。
最初の料理教室が終わったらデートしようって約束してるし、プランは任せてるからそれも楽しみだ。