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トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
転移局のお仕事ー中央局の視察
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10(クルビス視点)

 疑問も解消して、昼食の後は午後の執務に専念する。

 酔っ払いの苦情に技術者同士のいさかい、結果に不満で暴れたやつの処置。



 やってもやっても書類の山が減らない気がするのには、ため息しかでない。

 転移局と違って、俺たち守備隊は大きなコンテストが終ったこの時期が一番忙しい。



 コンテストを乗り切ったということで街全体で祝杯ムードになるんだが、酒が入ると結果への不満やこの後の1年の先行きが元でもめ事になりやすい。

 さらには、賞を取った作品の盗難、優秀な技術者への脅迫による囲い込みなど、見えない所での悪質な犯罪が発生しやすいとあって、隊士たちも連日で対応をしなくてはいけない。



 コンテストが終ったらハルカの料理教室が始まるというのに、そちらの調査にあまり手を避けられないのが痛いな。

 かといって、俺の能力を公にするわけにもいかないし、本当におばあ様だのみになりそうだ。



 あの夢はまだ続いている。

 最近はハルカが淡い紫の女性と一緒にいる姿まで見るようになった。



 あの体色は見たことがある気がするが、顔がどうにもハッキリしない。

 淡い体色なら、北西の転移局がらみかもしれず、ハルカの警護をしっかりさせるよう通達を出した。



 だが、北西の地区だと調理器具が繋がらない。

 ますます不安な材料が増えるばかりだ。



 ひい祖父さんはこんな時どうしていたんだろうな?

 俺は伝説になっている曽祖父に思いをはせる。



 数多の未来を読み解き、一族を正しい未来へと導いた家長。

 それまで家族単位でバラバラに暮らしていたトカゲの一族を、始めて集団で個としてまとめ上げたひとだ。



 もちろん、それには『大崩壊』があったからだったが、曽祖父の先見によるカリスマ性もあって叶ったことだったと聞いている。

 その曽祖父も基本的には自分の先見の能力を一族のためにしか使わなかったが、伴侶の危機に1度だけ私欲で使ったことがあるとルシェリードの祖父さんがこっそり教えてくれた。



 曾祖母が攫われるという先見だったが、一緒に見えた背景の植物からことの起こる時期と、攫われる場所が街の外の森だと推測し、逆に待ち構えて返り討ちにしたのだそうだ。

 珍しい薬草が見えたから場所を特定できたらしいが、それだっって背景のはっきりした同じ夢を詳しく見て、調べることが出来たから可能だったことだ。



 俺のように霞がかったような一部しか見えない夢では、場所と時期の特定が難しい。

 せめて何処で起こるのかさえわかれば防ぎようもあるものを。情報が調理器具だけとはな。

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