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トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
転移局のお仕事ー中央局の視察
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 しばらく荷物を送っていると、「あのぉ!困りますぅ!」というキャサリンさんの小さな悲鳴が聞こえた。

 何事かと振り返ると、視察のひと達が積みあがった荷物の仕分けを始めている。



「何を悠長なことを!この量を見ろ!まだまだ来るんだぞ!場所を開けないと置けないだろうが!」



 止めようとしたキャサリンさんに、怒鳴りつけるように言い返すイグアナの男性。

 そんなに大きな声で叫んだら、お客さんに丸聞こえだ。



 でも、キャサリンさんの気持ちもわかるなあ。

 イグアナの男性が手を付けてるのって、すでに仕分けた荷物のとこだし。



 手伝ってくれるなら、理由をちゃんと聞いてもらった方が二度手間にならないだろう。

 でも、さっきから、キャサリンさんが説明しようとするたびに「ほら、こっちを片付けろ。」だの、「何をしている。」だの怒鳴り散らしている。



 何だろう。魔素の余波みたいなのが飛んできたんだけど、あの人からってこと?

 えらい人なんだったら、それくらい抑えてよ。キャサリンさん大丈夫かなあ。



 色の濃いひとの魔素は、乱れると周りに余波がもれたりする。

 それはとても危険で、お年寄りや小さい子が当ったりしたら気を失ってしまうこともあるそうだ。



 影響は色の濃さにも比例して、私が婚約前にクルビスさんに切れた時なんかは、訓練をつんだ隊士さん達でも倒れることがあったくらいだ。



 だから、地位の高い人や色の濃い人程、周りに影響しないように魔素を抑える訓練を徹底している。

 実際、お式の前に会った一族のトップの方たちは、見事なくらい穏やかな魔素をしていた。



 なのに、イグアナの男性の魔素は周りに目に見える程に飛びまくっている。

 積みあがる荷物のおかげでお客さんの方に向かってないみたいだけど、あれじゃあ、周りに当たり散らしてるようにしか見えない。どうしよう。私が止めていいのかな。



「ギガ殿。出来ましたら、こちらから仕分けをお願い出来ますか?こちらの方が優先なのです。」



 あ。カイザーさんが事情に気づいて助け舟を出してくれた。

 受付の方はお付きの女性がやってくれている。



「なぜそれを早く言わない!」



 カイザーさんのお願いにもイラついた様子で返すと、すぐに言われた場所の荷物に取り掛かる。

 へえ。言われたら、素直に従うんだ。意外。



 忙しくなってきたら手伝ってくれたし、ただの威張りん坊ではないみたいだ。

 魔素をまき散らすのは迷惑だけど。

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