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トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
転移局のお仕事ー中央局の視察
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 特別営業期間が怒涛のごとく過ぎ去って、今日は視察の日。

 知らされてから今日まであっという間だったなあ。



 とにかく、荷物を受け取って送って、また受け取ってを繰り返した。

 それが転移局のメインの仕事なんだけど、普段なら、もうちょっとお客さんとのやり取りもあるのに。



 トラブルも多いと聞くけど、今回は初日の若い男性くらいだった。

 毎年のことだからか、ほとんどのお客様は送り状などを準備して来て下さったから、長時間待たせることもなく済んだ。



 お客様の協力が無かったら、捌ききれなかったかもしれない。

 それに、今回はデリアさんがいたからどうにかなった部分もあるし、来年のことを考えると改善点はまだありそう。



 ノートの記入ももう少し効率の良い方法に変えたいけど、それなら送り状を日本の宅配みたいにするとか…。



「ハルカ?着いたぞ?」



 考え事をしてたら、職場に到着していた。

 クルビスさんに視察のことを伝えた次の日から、毎朝抱きかかえられての出勤だ。



 歩かなくていいから、ついつい考え事をしてしまっていた。

 クルビスさんにお礼を言って、ほっぺ…じゃなく口の端にチュッとする。



 これは、雨季の間もたまにしていた、蜜月対策だ。

 クルビスさんが私を心配する時や不安を感じてる時は、私からのボディータッチを増やすと魔素の安定が早いからだ。



 視察のことを伝えた時も「わかった。」と言ってはくれたけど、やっぱり心配みたいなんだよね。

 クルビスさんの調査でも、例のバカ息子に関しては口は悪いけど、それ以外は特に問題はないってことだったし大丈夫だと思うんだけど、それとこれとは別みたいだ。



 やっぱり、相手がイグアナの一族だからかなあ。

 権威に弱い一族だし、私に対してチョッカイ出してくる可能性が高いもんね。



 まあ、それで、そんな不安な伴侶を落ち着かせるために、軽くチュッとするようになったわけ。

 最初は外では抵抗があったけど、クルビスさんの魔素が喜びにあふれるのを感じるうちに、あまり気にならなくなってきた。



 まあ、軽くチュってするくらいはね。新婚だしね。

 それで、チュウした後でクルビスさんを見送ると、職場に入って、早速、掃除に取り掛かる。



 今日はお偉いさんが来るから、全員少し早めの出勤になっている。

 掃除は念入りにしておかないとね。



「水拭きの後のからぶきは忘れないで下さい。端の方まで丁寧にお願いしますね。」



「「「はい。」」」



 カイザーさんの指示にハキハキと返事をし、それぞれに担当場所の掃除を始める。

 ちょっとでも、付け入る隙を与えないようにしないと。



 何言われるかわからないもんね。

 今日までに問題の息子さんのことをカイザーさんやキャサリンさんに聞いてみたけど、かなり細かいひとみたいだし。



 キャサリンさんなんかは、わざわざ使っていない棚の端を指ですくって、「掃除も満足に出来ないのか?」とホコリを見せられたらしくて、ぷりぷり怒っていた。



「確かにぃ、端まで掃除出来てなくて悪いのはこっちですけどぉ、まだ新人研修の段階でそこまで手が回りませんでしたしぃ、何より言い方ってありますよねぇ?」



その言葉には頷くしかなかった。

何だか意地悪なお姑さんみたい。



 カイザーさんは実害がないって言ってたけど、偉い人にねちねち細かいことを言われ続けるなんて、十分、業務に支障が出ると思う。

 今日は試練の日になりそう。

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