表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
転移局のお仕事ー特別営業期間
72/397

 しばらくして、お客様が途切れた時にカイザーさんが戻ってきた。

 後ろにはあの青年が視線を下げてついて来ている。



 その後ろには、取り押さえてくれた隊士さんがいた。

 3人の魔素に悪いものは感じなかった。



 いや、正確に言うと、例の青年の魔素は少し震えてて、本人もおどおどしてるんだけど…。

 カイザーさん、何をお話したんだろう。



「おかえりなさぁい。お話終わりましたぁ?」



 キャサリンさんが出迎えると、カイザーさんがにこやかに答える。

 カイザーさんとしては「お話」は上手くいったようだ。



「ええ。少し誤解があったようで、きちんと事情を説明したら、お客様もわかって下さいました。ああ。ハルカさん大丈夫でしたか?」



 いえ、何でそこで小声で私に?

 特に何もされてませんが。



 驚きつつも「ええ。大丈夫です。」と答えると、今度は目を軽く見開かれる。

 何なんだろう。



「やはり、黒の方は違いますねえ。何もないなら良かったです。さて、こちらの荷物の手続きをしたいのですが。」



「あ。はい。ええっと宛先は中央地区時計塔広場。中身は織り物ですね。お間違いないですか?」



 今度はきちんと送り状の書いてある青年の荷物をチェックする。

 私に話しかけられた青年はビックリしたように目を見開くと、「は、はい。」と頷く。



 さっき悪い態度をとったのに、普通に接する私が不思議なのかな?

 社会人ですから、お仕事は切り替えてやりますよ。



「それでは料金45になります。こちらですね。」



 さっき青年が置いて行ったお金を数える。

 うんぴったり。



「ちょうどですね。ありがとうございました。」



「あ。お、お願いします。…さっきはすみませんでした。」



 素直に謝る青年に、笑顔で頷いているカイザーさん。

 さっきの騒ぎがウソみたいだ。うん。わかってくれたなら良かった。



「いいえ。次からは送り状もご用意くださると助かります。またのご利用お待ちしております。」



 怒ってないとわかるように穏やかに微笑みながら接客すると、青年はホッとした顔になる。

 彼はもう一度胸に手をあてて謝って、大人しく帰って行った。



「では、私もこれで。」



「「「「ありがとうございました。」」」」



 隊士さんも一部始終を見届けると帰って、いや、私の警護に戻っていく。

 まだまだお仕事なんだよね。外は暑いのに。お疲れ様です。



「ありがとうございます。これで、彼も技術者を続けられます。」



「え?どういうことですか?」



 もしかして、さっきの件ってすごく深刻な話だったとか?

 うわあ。あれ見てたお客様とか結構ウワサしてたのに、大丈夫かなあ。



「あのう。いいですか?」



「ああ。お客様がいらっしゃいましたね。この話はまた後で。」



 気になるけれど、お客様が優先だ。

 さて、お仕事。お仕事。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=721049258&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ