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トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
転移局のお仕事ー日常その1
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12

 紐を解いて箱を開けると、重ねられた鍋やフライパンみたいなものが出て来た。

 みたいなものっていうのは、取っ手がついていなかったから。



 カシャカシャいってたのは、取れた取っ手がぶつかっていたからみたい。

 明らかな不良品じゃない。



 こんな輸送くらいで取れる取っ手って何?調理出来ないし。

 全ての取っ手が取れてるっていうのに悪意を感じるなあ。



 でも、お店もお店だ。こんなのがウワサになったらどうする気なんだろう。

 商売する気あるわけ?



「これは…。シェリスさん。この調理器具に触ったことはありますか?」



「…いいえ。基本の型のものですから、大きさだけ伝えて、用意が出来次第送ってもらったんです。」



 ということは、シェリスさんに責任はない。

 魔素でウソを言ってないことはわかるし、何より、自分で使う調理器具の取っ手を全部壊したっておかしいしね。



 どうみても調理器具を売ったお店の過失に見えるけど、このお店は何がしたかったのかなあ。

 ちゃんと販売しようとしたなんてのは無さそうに思う。



 調理器具のうちひとつ取っ手が取れたならそうだろうけど、全部って。

 カイザーさんもそう思ったらしく、呆れたようにため息をついた。



「…購入店を教えて頂けますか?こちらで今回の「事故」の原因を調査いたします。転移局が窓口になりますので、シェリスさんは調査が終わるまで購入店とは連絡を取られませんように。これはこのまま預かってもよろしいでしょうか?」



 シェリスさんに許可を取り、転移局の「事故」として調査すると説明する。

 調査がどういう物か知らないけど、色の淡いシェリスさんがこのまま文句を言っても取り合ってもらえない可能性が高いから、その方がいいだろう。



 カイザーさんの意図が伝わったのか、中身のあまりの状態に放心状態だったシェリスさんもはっきりと「よろしくお願いします。」と言ってくれた。

 これで大手を振って調査出来るわけだ。



 これでホントに嫌がらせに転移局が使われたとしたら、マズイ事になるだろうなあ。

 この街で転移局を敵に回して商売なんかできないだろう。



 ふと顔を上げると周りも驚いた様子で興味津々にこっちを見て止まっていた。

 キャサリンさんお客さんに荷物渡してあげて下さい。お客さんも荷物受け取って下さい。動いて下さ~い。



 それ程込み合っていなかったからか、私たちのやり取りは一部始終を見られていたようだ。

 まあ、転移局で中身の確認なんてあったら気になるよねえ。



 でも、今回はともかく、普段の業務で問題が起こったことが周りにバレるのって問題だなあ。

 ちょっとした仕切りでスペース作るとかできれば…荷物で埋まってるから無理か。


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