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外だと冷房もどきも効き目無さそうだけど、この辺は風もあまり吹かないし、上から冷気が降りてくるくらいで丁度いいんだろう。
でも、キャサリンさんは別のことが気になったようだ。
「この辺だとここまで機能のある日よけは珍しいですよぉ。術士のお知り合いでもいるんでしょうかぁ?」
ポツリとつぶやかれたその言葉に、「いらっしゃいませ。」と涼やかな声が重なる。
あ。このひと、お式の後のデートで差し入れしてくれたお姉さんだ。
綺麗なラベンダーの体色に白いワンピースがとても良く似合っている。
真っ白な服は珍しいのに着てるってことは、白が好きなのかな?
だとしたら嬉しいなあ。
色で能力まである程度わかっちゃうから、魔素を外に出せない白は下に見られがちだから。
刺繍や染物で地色が白というのはあるけれど、白一色というのは市場でも出回ってない。
特注なのかな?シェリスさんってお金持ちとか?
「あの時は差し入れありがとうございました。とても美味しかったです。」
「まあ、来て下さってありがとうございます。お口にあって良かったです。4名様でよろしいですか?」
「はいぃ。お願いしますぅ。あ、ランチってまだ残ってますかぁ?」
「ええ。大丈夫です。ランチを4つでよろしいでしょうか?」
「お願いしますぅ。」
お姉さんは嬉しそうに微笑んで人数を確認し、店の中に案内してくれた。
まだ、お昼には早い時間なのに、広くない店内はお客さんで一杯だ。
お店の入口側の少し広めのテーブルに案内される。
入口に近いといっても、結構涼しい。冷房がきつ過ぎなくてちょうどいいかも。
「ラッキーでしたねぇ。限定のお昼が食べられるなんてぇ。」
「ふふ。すぐご用意しますね。他のメニューもご覧になりますか?」
「お願いしますぅ。」
やった。ランチがある。軽食も美味しいらしいし、期待できそうだな。
今日は魔素をかなり使ったし、お腹いっぱい食べておきたいから、いくつか追加で頼んでおこうか。
あ。でも、この世界ではタダでお水は出てこないから、先に飲み物頼まなきゃ。
やっぱり、柑橘系のジュースかなあ?