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「おはようございます。」
「おはようハルカ。」
目が覚めて、身支度が終ったら、朝っぱらからおでこにチュー。
最初は、朝食を終えたクルビスさんに唇にキスされて起こされてたんだけど、そこから押し倒されること数回。
クルビスさんが私をベッドから離さなくなるので、仕事が始められないと、さすがにシードさんから苦情が来ました。
それで話し合って、朝はおでこにチューで妥協することになった。
というか、そもそもクルビスさんが加減して抱いてくれたら、一緒に起きて朝ごはんを食べにいけるんだけどなあ。
そうすれば、先に朝食を食べたクルビスさんに起こしに来てもらう必要もないんだけど…。
無理だろうなあ。
おでこにチューにするのだって、すごく渋ってたし。
それから、クルビスさんに運んでもらって1階の食堂に行くんだけど、すれ違う隊士さん達と朝の挨拶を交わす。
私を抱えるクルビスさんの姿はすっかり日常化したらしい。
一階に着くと明るい朝の陽ざしが差し込む。
雨季が終ると、あの視界を遮る大雨がウソみたいに晴れが続くようになった。
気温も一気に高くなって、蒸し暑い熱帯の気候が外に出るのをおっくうにさせる。
もっと暑くなると、熱気が貯まらないように術士部隊が山の方から涼しい風を送ったりもするらしい。
どれだけ暑くなるのか、考えるだけでも嫌になる。
その本格的に暑くなる前にあるのが、各技術のコンクールだ。
出資者がいれば開催されるようで、その規模も数も様々だ。
一番多いのが染物のコンクールで、染料そのものを比べるものや、染めの色合いから、模様、耐久性などなど、もう染物関係ないんじゃないかと思われるものまで比べられる。
どんなに小さくてもコンクールで受賞するのは栄誉らしく、その後の仕事は段違いに変わるらしい。
だから、技術者さんたちは自分にあったコンクール目指して、長い雨季の間に出品作品を作るのだそうだ。
そして、コンクールが近いということは、その出品作品が各地から集まるってことで、転移局は大繁盛ってわけ。
一年で一番の繁盛期だとカイザーさんが言っていたっけ。
昨日もかなりの荷物だったのに、今日はもっと多かったりして。
ぶるる。怖いから考えないようにしよう。
さ、朝ごはん、朝ごはん。
今日はあっさりスープだ。あ、うどん入ってる。