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「それじゃあ、使えませんね。」
もったいないなあ。
これ招待券だから、お金いらないのに。
「チケットなら売っちまうって手もあるぜ?」
残念がる私にシードさんが別の提案をしてくれる。
チケット売り場あるんだ。
やっぱり元ネタあー兄ちゃん?
指定席って考え方も、それっぽいしなあ。
「別に名前入ってるやつじゃないし、期限もないし、勝手に送って来たんだから気にしなくていいんじゃね?」
確かに。席番号はあるけど、個人を特定できる情報は一切ないし、期限もないみたいだから売るには困らないだろう。
勝手に送って来たんだしねえ。
「ハルカの好きにすればいい。これはハルカのものだ。」
聞こうと思ったら、先回りされて答えられた。
じゃあ、売っちゃおうかな。使わないし。
またお金が増えるなあ。
お給料も今月末から入るし、ルシェリードさんからもらったお金もまだまだあるし、その他の収入もあるしで、今の私の貯金額は恐ろしいことになっている。
日本じゃ毎月やりくりに苦労してたのになあ。
何なの、この差。
「じゃあ、売ります。この辺に売る場所があるんですか?」
「噴水のとこの転移局の隣だな。アニスにでも頼めば行ってくれると思うぜ?」
転移局の隣かあ。今は近づきたくないなあ。
じゃあ、申し訳ないけど、アニスさんに頼もうかな。
頼りっぱなしじゃ悪いから、今度、おやつ差し入れしよう。
ホントならチケットあげるのがいいんだけど、この場合は返って迷惑になるし。
「はい。アニスさんにお願いしてみます。教えて頂いてありがとうございます。」
アニスさんに頼むことに決め、シードさんにお礼を言う。
売るなんて思い付きもしなかった。
せっかくのチケットだし、必要とするひとが使えばいいよね。
これからこういうのが送られてきたら、売っちゃおう。
でも、あんまり続くと困るから、どこかで転移局の本部のひとにお話しできればいいなあ。
他に移る気がないのに、これ作るために時間取らせてるのも申し訳ないし。
観光マップとか情報誌レベルだもんね。
調べるの苦労しただろうなあ。
これ集めて、地区ごとにまとめて、転移局で売っちゃえばいいのに。
観光目的のお客さんも多いんだし。
ダメかなあ。
今度キャサリンさんとカイザーさんに聞いてみよう。
まずは、隊士の皆さんに使ってもらって、感想を聞いてみようか。
勧誘はしばらくスルーの方向で。それでいいや。