表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
転移局のお仕事ー引き抜きの話
43/397

12

「ウワサだけが出回って、こんなことになったんだな。」



「表立って言えねえもんなあ。派手にやるとクルビスの怒りを買うし、下手すりゃルシェリード様の不況まで買うし。それなら『うちも良い所ですよ』アピールすることにしたんだな。途中で転移局を移ることはよくあるしなあ。」



 へえ。転移局って途中で勤務先移れるんだ。

 まあ、勤務期間が100年単位だし、術士の意志がこれだけ反映される人事なら、そういうこともあるのかな。



 だから、遠回しに「良い所」アピールから始めたと。

 それで、気に入ってもらって、自分から移動を申し出てもらおうと。



 うわあ。気が長いっていうか、回りくどい。

 いや、表立っての理由が筋が通ってるから、こんな絡め手できたんだろうけど。それにしてもねえ。



 これなら、昼間来た転移局のひとの方がまだ理解できる。

 こんなのがこれからも届くとしたら、面倒だなあ。



「でも、これがあれば、各地域の名物がひと目でわかって便利だぜ。ハルカ。もし、いらないなら、このチラシ貰ってもいいか?ファイルして、転移室の待合室に置いときたい。」



 私がこの先のことに頭を悩ませていると、シードさんから思わぬ申し出をされる。

 ああ。そっか。いろんなお店について場所とか情報が詳しく乗ってるもんね。



 特に食べ処について良く乗ってるから、他の地区にお仕事に行くときに便利だろう。

 変なウワサ流れても困るからどうせ使わないし、有効活用してもらおう。



「ええ。どうぞ。使いませんし。」



 私が快諾すると、シードさんは礼を言って観光チラシを集め始める。

 集める手伝いをしながら、クルビスさんも関心していた。



「よくここまで調べたものだ。地図まで詳細に…。確かに、これだけ詳しく乗っていると、他の地区に行った時に便利だな。食べる場所を探す手間が省けるし、隊士の楽しみにもなる。」



「だよなあ。これ、術士部隊が喜ぶんじゃねえ?北は術士の貸し出し多いしなあ。」



「そうだな。キィが喜びそうだ。」



「いやあ。キィならもう知ってるんじゃね?」



 クルビスさんとシードさんが笑いながらチラシを片していく。

 あっという間に封筒とチケットとチラシの束に分けられた。



 早送り見てるみたいだった。

 きっと動体視力や身体能力が違うからだろうけど、目が回りそう。



 私には無理だな。

 あ。チケット残っちゃったな。これも使ってもらおうか。



「このチケットも良ければ使って下さい。私は使わないので。」



「おお。ありがとう。でも、このチケット場所指定のやつだろ?番号ついてるし、隊士が行ったらどっかのお偉いさんと会うことにならねえ?」



「ありそうだな。申し込みで日時と名前は必要だし、劇場なんかも特別席だ。隊士の体色は濃いから目立つし、行った途端に責任者が出てきたりするかもな。」



 言われてチケットを観察すると、たしかに席番号らしきものが端っこに書かれている。

 こういうのって数が出回るものじゃないし、それを持ってるってことは特別だって思われそうだな。



 隊士さんは街のひとに混じるとすぐにわかるし、街の中ではエリートの職業だ。

 誰でも繋ぎを持っておきたいだろう。



 うわあ。じゃあ、私かクルビスさんの名前で予約したら、そこにたまたま居合わせましたって感じで、各地域の転移局の責任者とばったりお会いしたりとか?

 それで、何とも遠回しにお誘いを受けると。面倒くさいなあ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=721049258&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ