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トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
転移局のお仕事ー引き抜きの話
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11

 執務室に入ると、シードさんが書類仕事をしていた。

 クルビスさんが外に出ていたから、代わりにやっていてくれてたんだろうか。



 だとしたら、申し訳ない。

 でも、シードさんは気にした風もなく、明るく「おう。おかえり。」と出迎えてくれた。



「うわあ。それもしかして、全部かよ?」



「ああ。今日届いたほとんどがハルカ宛てだそうだ。」



「はあ。ああ。ここ座るといい。使ってくれて大丈夫だ。」



 私が抱える手紙の束を見て呆れた後、シードさんがクルビスさんの執務机の前の席を示してくれる。

 クルビスさんの膝抱っこされつつ手紙を開けると、中から出て来たのは手紙と「西地区北部おすすめスポット!」と書かれた紙だった。



「これは…。」



「美味しい食堂ランキングか…。」



「お。何それ?気になる。」



 いやいや。クルビスさんもシードさんも何真剣に見てるんですか。

 お仕事再開して下さい。



 シードさんも手を止めなくていいですよ~。聞いてないけど。

 ちなみに、手紙の方もチラシ同様、各地域の見どころがわかりやすく、これでもかと情報が詰め込まれている。



『どうぞ、ご都合のよろしい時においで下さい。』



 そんな言葉で締めくくられていた。

 え。これが勧誘?観光のお誘いじゃなくて?



 慌てて他の手紙も開封すると、どれも同じようなものだった。

 鮮やかな多色刷りのチラシもあれば、劇場や食堂のチケットまで入っていて、手紙の内容も『是非、一度来て欲しい』といった内容ばかり。



「観光のお誘い、じゃないですよね?」



 とにかく現地に私を来させようとしているみたいだし。

 行ったら何かあるんだろうか。



「ああ。北西の転移局を選んだ理由に「ご飯の美味しい所がたくさんある」って言ったんだろう?たぶんそれでだな。」



 え。それは、カイザーさんの元で働きたいって言ったら、「それなら、北西の転移局でなくてもいいのでは?」って意地悪な質問されたから、咄嗟に答えただけで…。

 今まで忘れてたような質問なのに。じゃあ、それがこの観光チラシの山の原因ってこと?



「そういえば、そんなこと言いましたね。今まで忘れてました。」



 私がポツリとつぶやくと、クルビスさんとシードさんは笑っていた。

 私は北西の転移局の現状やカイザーさんが上司だってことを知って希望したのに。



 何でどうでもいい情報だけが出回ってるかなあ。

 他の地域の転移局の皆さんも何を考えてるんだか。


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