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転移が無事終わった後、キャサリンさんが「じゃあ、さっそく実践しましょ~。」と言って、転移陣に魔素を流し込むことになった。
緊張しながら、均等に魔素を流し込むと、数秒で終わる。
あれ?これだけ?
守備隊ではもっと時間がかかったのに。
「お見事です。」
「すごい!こんなに早く魔素を満たせるなんて~。ホントに初めてなんですか?」
様子を見守ってくれていたカイザーさんとキャサリンさんが目を見開いて驚いている。
やっぱり早いんだ。でも、練習の時は、キィさんやフェラリーデさんに「もっと早く魔素を流し込んで安定させるように」と注意されていたのに。
「え、ええ。守備隊の転移陣ではもっと時間がかかったんですけど…。」
「ああ。それなら納得です。守備隊は隊士さん達を一度に運ぶ必要がありますから、式も大きいですし、必要な魔素の量が多いんですよ。守備隊の転移陣は発動出来ましたか?」
「はい。果物を入れた箱で練習しましたが、傷もなく移動出来きるようにはなりました。」
「それだけ出来るなら大丈夫ですね。荷物の転移はおまかせできるでしょう。」
私の疑問にカイザーさんが答えてくれる。
そっかあ、守備隊のやつの方が難しいんだ。
そういえば、転移陣の部屋も守備隊の方が広かったなあ。
あれって、転移陣自体が守備隊の方が大きかったからなんだな。
成る程ねえ。式の大きさが転移陣のランクに比例するわけだ。
式が大きくなればランクも上がって、運べる荷物も人数も増えるけど、同じだけ使う魔素の量も多くなるわけだ。
その分一定の魔素を流し続けるための調整が出来ないといけないから大変なんだな。
キィさんの「ここでできりゃあ、大丈夫だからな。」ってこのことだったんだ。
それならそうと教えて下さいよ…。
なかなか上手く転移陣が発動出来なくて、このままで本当にお仕事出来るのかなってすっごく不安だったんだから。
「嬉しいです~。これなら、昼前には終わりますよ~。」
「ええ。自信を持ってください。ハルカさんの腕なら、問題なく働いてもらえます。初日から大変でしょうが、頑張りましょう。わからないことがあったら、自分で判断せず、何でも聞いて下さいね。」
「はい。よろしくお願いします。」
まあ、後は習うより慣れろだよね。
転移先の設定なんかは装置がしてくれるみたいだし、魔素を流し過ぎないように気をつければ、大きな失敗は無いと思う。
後は昼からあるっていう受付が心配かなあ。
そういうのってやったことないから、要領がわからないんだよね。