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 ワッ



 歓喜の魔素が周りに広がる。

 見えてないけど、私もウキウキしてきた。



「あ。出来上がったみたいですね。」



 アニスさんが言う通り、飴細工が出来上がったみたいで、人だかりが減っていく。

 すでに出来上がった飴細工を買った人たちが、嬉しそうに散らばる様子に期待が高まる。



 少し待って、アニスさんに手を引かれて屋台に近づく。

 飴細工の屋台のおじさんがこちらに手を振ってくれて、アニスさんも手を振っている。



 飴細工の屋台のおじさんもエルフで、ベージュの髪をオールバックにした、緑の瞳のメガネの似合う知的な男性だ。

 頭のねじり鉢巻きと、紺の地色に胸に「祭」とエルフ語で赤に染め抜かれた半被を羽織った姿が違和感すごいけど。



 きっと背中にもデカデカと祭と書かれているんだろう。

 漢字じゃないだけマシ…かな?



 あーにいちゃんは祭りについて、一体どんな説明をしたんだろう?

 食べ物だけで良いよね?なんでねじり鉢巻き?なんで半被?



 いや、あの兄は形から入る人だった。

 きっと、「祭りとは、こういうものだ!」とか自信満々に言ったに違いない。絶対そうだ。



 頭の中は兄への文句と視界の違和感に混乱していたけど、アニスさんが手を引いてくれていたおかげで、無事に屋台に辿り着く。

 屋台のおじさんは私とアニスさんに飴細工のドラゴンを差し出しながら、ニカリと笑った。



 私を見ても普通の態度だから、会ったことある人なのかな?

 もしかしたら、結婚前の挨拶の時に会ったことがあるかもしれないけど、視界の違和感で誰だかわからない。



「お疲れさま。良い時に来てくれたよ。出来たてだ。持ってってくれ。ついでに、リードにはこれを渡しておいてくれ。」



「ありがとうございます。これ、いつものですね?わかりました。あ、こちら、タツヤさんです。」



 アニスさんがおじさんの名前を言ってくれて誰だかわかった。

 深緑の森の一族の里で会ったことある。あの時は、正装のサークレットとローブ姿だったから、今の姿とは結びつかなかった。



 名乗ってくれてたから、名前を聞いただけですぐにわかって助かった。

 こっちの名乗りって便利だ。



 たしか、深緑の森の一族向けに里の調味料なんかを売っている人だっけ。

 いつも長老さん達やメルバさんがくれるから、結局お店には行けてないんだよね。



「こんばんは。タツヤさん。飴細工ありがとうございます。」



「こんばんは。どういたしまして。驚いたでしょう?うちの一族は、祭の時はこの格好をするんですよ。あんまり普段と違うから、誰だかわからないって言われます。」



 飴細工を受け取って私がお礼を言うと、タツヤさんは笑って教えてくれた。

 どうやら、お忍びってわかったからか、私の名前は呼ばないでいてくれるみたい。



 だから、普通の街の人に説明するみたいに、私に話してくれる。

 私なら、半被や鉢巻きがわからないわけないから。



「でも、この衣装を着るのは腕が良い証なんですよ。格好良いですよね。」



 アニスさんもタツヤさんの話に乗って、笑顔で教えてくれる。

 腕が良いとお祭りの衣装なんだ、深緑の森の一族の人はみんなこの格好だと思ってた。



 あー兄ちゃんがらみだから、すごい特別視されてるんだろうなあ。

 私の認識とのギャップが相変わらずすごい。



 まあ、でも半被姿が格好良いのは同感かな。

 お祭りって感じがする。



「お祭りって感じがして格好良いですよね。」



 クルビスさんにも着て見せて欲しいかも。

 メルバさんに頼んで、こっそり借りれないかな?

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