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 夏祭りはそれから7日後だった。

 話を聞いてから楽しみにしてたんだけど、クルビスさんが忙しいのと、私の料理教室への問い合わせが収まらないのとで、安全のため私は守備隊でお留守番。



「行ってらっしゃい。」



「気をつけて。」



「「行ってきます。」」



 だったんだけど、それは表向きの話。

 せっかくのお祭りだからって、アニスさんと守備隊の近くなら回っても良いって、クルビスさんの許可が出た。



 リリィさんとクルビスさんに見送られて、異世界初日に使った裏口からこっそり外に出る。

 アニスさんも私も頭には開発中の冷やす布を巻いているから、一見誰だかわからないはず。



 クルビスさんから聞いたけど、結婚式の時のベールはまだ返却されてないそうだ。

 あのベールはメルバさんが私が暑さに倒れないようにと冷却の術式を刺繍してくれたものだ。



 ベールの端にものすごく細かく刺繍してあって、ぱっと見、ベールの端に細いラインがデザインで入ってるようにしか見えない。

 結婚式の後、キィさんと約束してた通り、術師部隊に貸し出ししていたんだけど…。



「貸し出しの話が広がって、キィやキーファだけでなく、術師部隊に医療部隊で共同で研究することになったんだ。本当は雨季に終わらせるはずだったんだが、術式が細かいのもあってすぐには終わらなくてな…。」



 ああ。雨季は色々ありましたもんね。

 詳しく研究する暇は無かっただろうな。



 あの事件の後、クルビスさんも忙しくなっちゃって蜜月で籠ることが出来なくなっちゃったんだよね。

 そのせいで、未だに蜜月が続いている。



 最近はだいぶ落ち着いてきてるんだけどね。今日も離れて出かけられるし。

 多分、このお祭りの後にある武道大会が終われば、まとまったお休みが取れるみたいで、その時に2人きりで部屋に籠ることになったからだろうけど。



 流石に蜜月の状態があまり長引くのは良くないみたいで、ルシェリードさんからきちんと巣ごもりの期間を取るようにと言われたみたいだ。

 冬である休眠期前にはすませた方が良いからと、武道大会の後になった。



 おかげで、今日のお祭りにこっそり参加出来て、私としてはラッキーかな。

 頭に巻いた布も涼しいし、これなら倒れないだろう。



裏道から通りに出ると、喧騒と熱気が体を包む。

うわあ。普段お店が開いてる通りが屋台で埋まっている。



屋台は簡易の骨組みにテントみたいな布の屋根がついていて、日本で見る屋台の形によく似ている。

違うのは、屋根や骨組みに、クリスマスのライトみたいな、光る小さいライトがたくさんついたツルが絡まってたり、屋根の布に光る模様がついてるところかな。



あ、屋台に近づくと涼しい。

屋根から冷気が出てるみたい。屋根の光ってるのって冷却の術式かな?



「おや。…いらっしゃいませ。今日だけのピックがありますよ!お一ついかがです?」



 近づいた屋台は、結婚式の後のデートで差し入れを頂いた焼きそばの屋台だった。

 萌黄色の体色のヘビの一族のおばさんが豪快に焼きそばの塊を混ぜ合わせながら声をかけてくれる。



 私とアニスさんだけなのを見て、お忍びだと察してくれたみたいだ。

 普通のお客さんみたいに声をかけてくれるのが嬉しいな。



「今日だけの?美味しそうですね。」



「本当に。3つほど頂きましょうか?一つはお土産で。」



 屋台からは魚介と醤油の良い臭いがする。

 前に食べた焼きそばも美味しかったんだよねえ。



 アニスさんもそう思ったらしく、私とアニスさんが食べる分にクルビスさんへのお土産の分も買おうと提案してくれた。

 私も同じことを考えてたので、頷く。



「ええ。3つ頂けますか?」



「まいど!」



 持ち帰りようの葉っぱで作られた容器に手早く焼きそばが詰められる。

 ううん。良い匂い!お腹にくるなあ。

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