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「よいしょっとぉ。ハルカさ〜ん。こっち空きましたよぉ〜。」
「はーい。」
今日もまた、変わらず北西の転移局は荷物が多い。
今は特に食品の荷物が多いから、重たいんだよね。
ここ最近、トラット豆の入荷がすごい。
まあ、私のせいなんだけど。
お披露目が終わって数日で、スイートポテトや干物の話は街中に広まった。
もちろん、アースさんのお店の話も一緒に。
そのおかげで、アースさんのお店は、連日、行列が出来ているらしい。
こっちにも、ルドさんを通して、次の料理教室はまだかと催促がすごい。
すでに公開しているレシピも閲覧申請が引きも切らない状態らしく、あまりの反響に私の警護の数も増やされた。
水菓子の時はここまでじゃなかったのになあ。
次から次に来る荷物を捌きながら、料理教室の規模を大きく出来ないか、クルビスさんとウジャータさんに相談しようと決める。
調味料としてのお砂糖の使い方は、まだ普及してないから料理教室でレシピ通りの作り方を教えることは必要だ。
なるべく早く、たくさんの調理師さんにお砂糖の使い方を覚えてもらって、知り合いやお弟子さんに教えてもらえたいんだよね。
将来的には、レシピを公開するだけにしたいなあ。
最初は仕事しながら料理教室も続けていけたらって思ってたんだけど、最初の料理教室だけでも予想以上にしんどかったしね。
ウジャータさんも、料理学校が起動に乗ってからは、授業は部下に任せているそうだし。
「ふう。途切れませんね。」
私のため息にキャサリンさんとデリアさんが頷く。
連日の暑さもあって、冷房があるとはいえ皆ばて気味だ。
「ねえ〜。トラットは珍しく保存がききますからぁ〜。うちも今年は大量に発注したみたいですぅ〜。」
「レシピの影響で、今までのトラットを使った料理も人気が出てるそうですから、それもあるみたいですね。」
あ、それは嬉しい。自分のレシピで、トラット豆が流行りの食べ物になるなんて。
既存のレシピってどんなのがあるのかな。もしかしたら、守備隊でもう食べてるかもだけど。
「レシピって聞くとぉ〜。かき氷食べたくなりますぅ〜。」
「暑いですもんね。」
今度はキャサリンがため息をついて、カイザーさんが頷いた。
どうやらカウンターは終わったようだ。
「今年の夏祭りは、守備隊ではかき氷が出るそうですよ?」
夏祭り?
へえ。お祭りがあるんだ。