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「とても美味しいのですが、これが魚とは、何とも不思議な感じですね。」
オルファさんがそう言って、最後のスプーンを口に入れる。
アースさんもキルビルさんも頷いている。
「ええ。匂いだけでなく、想像以上にしっかりした肉の味なのに、血の匂いがしない。」
「歯ごたえもありますし、これで、魚の干物とは。言われなければ、わかりませんな。」
そんな周りを見て、メルバさんや長老さん達は満足気だ。
嫌がられてる感じはしないし、干物を広める最初としては良い感じだよね。
「ふふふ〜。皆、驚いてるね〜。」
「まあ、魚の干物は里から出ることがあまりありませんからなあ。」
「それが、ハルカちゃんの味付けでこんなに美味くなって。」
「もっと欲しいのう。」
あ、長老さん達も足りないんだ。
おかわりって頼んでも良いのかなあ。
ん?もうスイートポテトが来た。
お茶も一緒だ。
さっきのお茶と違って、紅茶みたいな香りの良いお茶だ。
スイートポテトは砂糖を使ってるから、魔素の補給になるかな。
「スイートポテトでございます。こちらはおかわり可能となっております。」
あ、スイートポテトならおかわり出来るんだ。
作り置きも沢山持ってきたし、ルドさんがいるなら、その場で作れるもんね。
「はい。クルビスさん。」
私の分もお先にどうぞ。おかわり出来るみたいだし。
はい。あ〜ん。
「仲良しじゃのう。」
「うむうむ。良きかな良きかな。」
「何よりじゃて。」
いや、仲良しですけど、これはそういうんじゃなくて。
クルビスさん、かなりお腹空いてるはずだから、魔素を早く補給してもらおうと思っただけです。
現に、クルビスさん、何も言わずに私が差し出すスイートポテトをひょいパク食べてるし。
あ、無くなった。おかわり頼まなきゃ。
「滑らかで上品な甘さですわあ。」
「本当に。控えめな甘さで、私は好みですね。あ、君、おかわりが欲しいんだが。」
おかわりを頼もうと給仕の人を探して周りを見ると、他のテーブルにもスイートポテトが運ばれていた。
中々好評みたいで、ホッとする。
おかわりを頼む人もいて嬉しい。
私もおかわり頼まなきゃ。すみませ〜ん。