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私達が座ると一斉に料理が運ばれてくる。
偉い人の挨拶とか良かったのかな。
私達のお披露目の時は、司会進行の人が流れるように紹介してくれて、後は各自で歓談するだけで良かった。
でも、主役の私達の挨拶はあったし、格式にこだわる青の一族なら、偉い人のスピーチくらいあると思ってたのに。
「わあ。美味しそう〜。」
う〜ん。一番偉いのはメルバさんだけど、この様子じゃあ無理かなあ。
料理に夢中だし、主催者じゃないからって断りそうだ。
でも、スタグノ族が挨拶すると、今度は誰から挨拶するかで揉めそうだし。
私のレシピも紹介するから、ますます誰が良いかわからないだろう。
今回は難しいから、偉い人の挨拶はなしになったのかも。
後で揉めても困るもんね。
気を取り直して運ばれてきた料理に意識を戻す。
最初は青い果物のスライスからだった。
パッと見は、青が鮮やかなアボカドのスライスに見える。
フォークを刺すと、シャクっと音がした。
見た目より固い。
口に入れると、シャキシャキしてて甘みが広がる。
新鮮な春キャベツ食べてるみたい。
少し酸味のあるドレッシングがかかっていて、さっぱりと食べられた。
美味しい。
これ、元はどんな形なんだろう。
葉物野菜じゃなさそうだよね。
てことは、ロールキャベツには使えないなあ。残念。
数切れしかないサラダはすぐに食べ終わる。
食べ終わると、次のお皿が来ていた。
良い給仕だなあ。
お客の様子をよく見てる。
次に来たのは丸く、一口サイズになったお団子状のもの。
上にキラキラしたビーズのようなものが乗っている。
これ、食べられるよね?
噛んだらガリっていわないよね?
恐る恐る口にすると、まず驚いたのは花の香りがしたことだった。
菊の香りかなあ。
バラとかじゃないなあ。
知ってる香りだけど、そこまで強くない。
上に乗ってた粒を噛むと、さわやかな香りが鼻を抜ける。
中は、肉団子だけど、花の香りで肉の臭みは感じない。
料理に花を使うのは青の一族だと思ってたけど、赤の一族も使うのかな。
周りを見ると驚いたように目を見開いているから、こういう風に使うのは珍しいみたいだ。
へえ。じゃあ、今日お披露目されるのは、創作料理なのかな。
次は何だろう。期待でワクワクする。