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料理への期待が高まってきた頃、再びノッカーがなった。
どうやら、メルバさん達がやってきたみたいだ。
もう会場の準備は整っているみたいで、私達も移動することにした。
キルビルさんに続いて、また長い廊下を歩いていく。
一際大きな扉の前に到着すると、「青の一族、赤の一族、黄の一族の長様、トカゲの一族次代様、伴侶様、入場されます。」と大きな声が響き渡る。
それと同時に扉が開いた。
うわあ。緊張するなあ。
あ、でも、「おなーりー。」じゃなかった。
青の一族と言えば、時代がかった言葉使いや形式なのに。
声は大きかったけど、普通に誰が来たのか紹介しただけだったから、キルビルさんが変えようとしてることの一つなのかもしれない。
入場と共に、たくさんの視線が突き刺さる。
前の時より、ギラギラした視線が多いような気がする。
今回は、立食形式ではなく、テーブルとイスが用意されていた。
お店のメニューとお店自体の紹介が一番の目的だからだろう。
私達は、メルバさん達と一緒のテーブルみたいだ。
メルバさんに長老さん達はエルフの正装をしている。
頰に血の気が差し、料理への期待でキラキラした目のメルバさんは、光り輝く笑顔で立ち上がって、私達を迎えてくれた。
ぐふ。正装したメルバさんって、ホント目の毒だよね。
キラキラメルバさんの美しさは、スタグノ族にも有効らしく、あちこちからため息やきゃあきゃあ言っているのが聞こえる。
長老さん達も負けないくらい渋くきめていて、髪の色に合わせた衣装に、額に輝くサークルが物語のエルフそのものだった。
大人の余裕で軽く礼をして迎えてくれたけど、口元が緩んでますよ。
皆さん、新しい料理に興味津々なんだろうなあ。
メルバさんは目がいくつかある入り口を忙しなく見てるし、早く食べさせた方が良いかも。
礼を返しながら、この後のことが心配になってきた。