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詳しく聞いてみると、実が出来きる花は甘い蜜をもち、実が出来ない花は香りが強いものが多いらしい。
しかも、実の出来ない花は岩の多い険しい場所でしか育たないらしくて、栽培が難しいとか。
花の栽培が盛んな東地区では、一部が海に面した崖なので、そこで栽培しているんだって。
しかも、香りの強い蜜は、青の一族が好きな蜜だから用意した方が良いらしい。
スイーツに蜜かあ。
基本的に香りが強いと甘く無いらしいけど、違和感があるなあ。
「私の贔屓の店なら、種類があって、スイートポテトに合う蜜が見つかりますわ。ですが、大通りから中に入った所にある店ですので、買い付けはルドに頼むとよろしいですわ。クルビス様は、まだ蜜月なのでしょう?」
「はい。あの、でも、よろしいんでしょうか?」
ルドさんも忙しいのに。
いつも、私のレシピの再現に付き合ってもらうのだって、感謝してるけど、申し訳ないと思っているし。
「お気になさらないで下さいな。ハルカ様。大丈夫ですわ。あの子、明日は休みですし、もし、改善点が出たら、手伝うと言ってましたから。」
ルドさんお休みなのに良いのかな。
ますます不安になる私に、ウジャータさんは畳み掛ける。
「大丈夫ですわ。休みの日も料理の研究ばかりしている子ですから。ハルカ様の新しいレシピに関われることを、毎回、喜んでいるんですのよ?」
本人に聞いてみてくれとまで言われたら、頷くしかない。
ルドさん、お休みの日も料理の研究してるんだ。
ルドさんらしいなあ。
クルビスさんも、ルドさんとなら多少話していても大丈夫みたいだし、頼むならルドさんかなあ。
「じゃあ、帰ったら、ルドさんにお願いしてみます。」
「そうなさって下さいな。あの子も喜びますわ。お店はですね。北地区と東地区の境目の通りを一本西に入って、真ん中の香辛料の店の3つ隣ですわ。」
ルドさんに頼むことになって、店の名前や住所を聞いたけど、今いち、ピンとこなかった。
そういえば、守備隊と転移局以外の場所は、出歩けないのもあってよくわからないままなんだっけ。
どちらにしても、誰かにお願いしなきゃいけなかったんだ。
ルドさんには、頼ってばかりだなあ。
そうだ。
明日にでも、トラット豆のプリンを作って、レシピを教えようかな。
ウジャータさんが驚いていたから、ルドさんも知らなそうだし。
ただ、先にクルビスさんに食べてもらわないとね。