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卵黄を塗ったものと塗らないものに分けて、スイートポテトを作り終える。
すぐに食べるのは熱いので、冷ます間にプリンも作った。
今はかなり暑い季節だから、念のため、少し長めに蒸してプリンにする。
思いつきでプリンに派手豆のペーストを入れたので、カラメルソースは今回は無しに。
「まああ。豆をプリンに!斬新ですわ。」
ウジャータさんはカボチャプリンやサツマイモプリンみたいな、カスタード以外のプリンを知らなかったらしく、とても興奮している。
あー兄ちゃんのレシピになら、カボチャプリンはあったと思うんだけど、この様子だと広まってないみたい。
もしかしたら、派手豆から餡子を作って驚かれたみたいに、お菓子の材料として認識されてないだけ、とか?
ありそうだなあ。
プリンが蒸し上がったら、試食タイムだ。
まずはスイートポテトを食べ比べ。
「…ん。あらあら。まあまあ。どちらも、大変美味しゅうございますわ。卵黄を塗った方がコクが増すように感じますわね。ただ、塗る量を加減しませんとね。これくらいならちょうど良いと思いますが、もっとたくさん塗ってしまうと、卵黄の香りが主張し過ぎてしまうかもしれませんわ。塗らないものなら、アッサリして、お豆のお味を堪能出来てよろしいですし。お好みで風味を付けるのに、蜜をかけてもよろしいですわね。」
出た。蜜かけ。
卵黄の香りについては、とても参考になったけど、甘いものにさらに甘い蜜をかけるのは、わからない。
水菓子の時も、蜜はかけないのか、って散々聞かれたもんねえ。
スイートポテトの時も聞かれそう。
「蜜、ですか?どんな蜜が良いでしょう。」
「そうですわね。卵黄を塗ったものなら、香りのはっきりした蜜を、卵黄なしなら少し香りがする程度のアッサリした蜜が合いそうですわ。」
さらっと出てきた、蜜の特徴を急いでメモする。
お披露目の時に聞かれるかもだから、準備しておかなきゃ。
「香りのはっきりした蜜に、アッサリした蜜、ですか。そういう蜜があるんですね。」
「ええ。甘さのあまりない、香りづけのための蜜もございますの。料理にも使いますのよ。」
知らなかった。
蜜はみんな甘いんだと思ってた。