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「では、材料の確認をいたしましょうか。」
ウジャータさんに促されて、テーブルの上に乗っている食材を確認する。
材料は少ない。
餡子と同じトラット豆だ。
私は派手豆と呼んでいる。
それくらい、トラット豆には種類がたくさんあって、どれも色とりどりで鮮やかだ。
今回はサツマイモの味がする山吹色のやつを使う。
それにメルとビーンという名前のミルクとバター。
ヤギみたいな家畜のメルから採れるミルクが、私が慣れてる牛のミルクに一番近いらしい。
魔素も合うから、私の食事に使われるミルクは基本的にこのメルだ。
そのメルのミルクから作られたのが、ビーンというバター。
それと、精製された砂糖だ。
今回使うのは、白に近い、一番精製されたお砂糖。
茹でたトラット豆にはすぐに潰れて、漉せるから、楽なんだよね。
漉したトラット豆にお砂糖とバターを溶かしながら混ぜて、仕上げにミルクを入れる。
よく混ぜたら、滑らかなスイートポテトの元が出来る。
ミルクを多目にすると、タルト液みたいになって、プリンカップに入れて焼くと、しっとりしたスイートポテトになる。
タルトの中身にしたりも出来るし、簡単な割に、色々使えて便利なんだよね。
広まったらお菓子の幅が広がるんじゃないかな。
「あとは食べやすい大きさにまとめて、必要なら、卵黄を塗って、並べて焼けば完成です。」
「卵黄を塗るんですの?お味が変わりません?」
「艶を出すために、少しだけ塗ります。味は、私は気にならないのですが、気になるなら、塗らなくても大丈夫です。ただ、それだと玉子が余るので、私はプリンと一緒に作って、卵黄を少しだけ取っておいて、それを使います。」
「艶を。それでしたら、塗ったものと、塗らないものに分けて、比べてみたいですわ。玉子の残りをプリンにするのはよろしいですわね。少ししか作らないなら、残った玉子の使い方に困りますでしょうし。」
ウジャータさんの質問に答え、卵黄ありとなしの2種類のスイートポテトを作ることになった。
玉子の味なんて考えたことがなかった。
味覚や嗅覚が敏感なシーリード族には嫌いな人もいるかもしれない。
事前に確認してもらえて良かった。