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「うむうむ。自分の魔素が危険じゃと自覚しとるようじゃの。」
「大丈夫そうじゃの。」
「ハルカちゃんなら、慢心とも無縁そうじゃの。」
私の考えを読むように、長老さん達が頷き合う。
また顔に出てたのかな。なんでわかるんだろう。
長老さん達はニコニコしながら、お茶を飲んでる。
まあ、安心してもらえたなら、いいか。
「安心もしたし、そろそろ新しいレシピについて、ハルカちゃんに報告しようかの。」
「おお。そうじゃった。」
「忘れてたわい。」
「そうでしたね。」
それが一番の用事だったのに、昼間の騒ぎの話ですっかり忘れてた。
新しいレシピのうち、おつまみ小魚と小魚の出汁だけでなく、生姜焼きもどきやフグのスープも、私のオリジナルとして、正式に認められたらしい。
「これが正式な書類じゃ。“深緑の森の一族とシーマームには存在しないレシピである”とそれぞれの代表者のサインが入ってある。」
「フグに関しては、まるごと鍋に入れて出汁を取ることはあるようじゃが、細かくして具材として利用することはなかったそうじゃ。」
「砂糖を使うパギョのソースは当然じゃが存在しなかったんじゃがの、一応、話は通しておいた。シーマームの幹部にも、うちの一族にも期待されておる。是非、早急にお披露目して欲しいそうじゃ。」
シーマームの皆さんは、砂糖の魔素が身体に合うからわかるとして。
生姜焼きのタレが、予想外に深緑の森の一族にも受けてる。
甘いからかな?
それとも、ソースで肉の匂いがマシになるからかもしれない。
肉がダメなのも匂いがダメだからって前に聞いたし。
だから、和食が受けたんだよね。
うーん。
2つの一族からプレッシャーかかっちゃったなあ。
でも、スイートポテトのお披露目が先だしなあ。
青の一族のキルビルさんと約束してるし。
ウジャータさんにも協力をお願いしてて、次の休みには一度作って一般に広めるのに改善点がないか、確かめることになっている。
とりあえず、先の話になることを伝える。
「では、スイートポテトの披露目の後に、パギョのソースは守備隊でメニューに加えられるようにすると良いかの。」
「甘味ならまずかろうが、魚用ソースなら、すぐ後でもそう角も立つまいて。」
「じゃが、披露目の時期は決まり次第教えてもらえるように、キィに頼んでおかねばな。」
すると、私の知らないところで、着々と生姜焼きのタレのお披露目が決まっていく。
なんだか、大事になってきたなあ。