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「封印自体、難しいからの。出来ても、その出来栄えには個体差があるんじゃ。」
「じゃから、早く、強く、柔軟な封印を出来る術士は、それだけで守備隊の隊長クラスかその次くらいの地位におる。」
「ハルカちゃんが施した封印は、その全てを満たしておるでな。話が広まったら、間違いなく、大騒ぎになったじゃろうて。クルビス隊長の判断は正しい。」
驚く私に、長老さん達はゆっくりと説明してくれる。
咄嗟にやったことがそんなにすごいことだったなんて。
うわあ。クルビスさんありがとう。
話が広まってたら、転移局で働くのも難しくなってたかもしれない。
「ようやく実感したようじゃの。」
「良かった良かった。自己評価が低いままでは、この先、危険じゃからな。」
「アタルとは違った意味で、無自覚じゃからなあ。」
う。気をつけます。
ホッとしたような長老さん達を見て、自分の無自覚さを反省する。
今まで、普通に出来てたから、何も思わなかったけど、私って結構チート寄りな能力持ってたんだ。
普段は、意識的に好きに出来るなんて感じはないから、わからなかった。
「イメージが良いんじゃろうな。」
「育った環境のおかげかもしれんな。」
「動く物語があるんじゃろ?大昔にアタルから聞いたことがある。」
イメージかあ。
それは、確かに良いと思う。
魔素を動かすのは、イメージが大切だって教わったし。
イメージの元になるのは、ゲームやアニメ、映画なんかで色々見てるからなあ。
こっちの世界の人たちよりは、具体的に想像しやすいと思う。
じゃあ、もっと具体的にイメージを持つようにしたら良いのかな。
「ええ。イメージの元になりそうな魔法の出てくる物語やゲームがありました。日常的に見てましたから、最初の時も魔素を動かすのは早かったと思います。」
「そうじゃろう。」
「長も驚いておられた。」
「普通、暴走の一度や二度はあるもんじゃが、それもなかったしの。」
「魔素の暴走は特に気をつけて訓練しましたから。」
私の魔素で暴走したら、シャレにならない被害が出そうだったし。
クルビスさんにヤケクソで告白した時だって、ちょっと興奮しただけで、周りにすごい被害が出たからなあ。
あの時は、自分で自分が怖くなったっけ。
でも、クルビスさんがしょっちゅう共鳴してくれたから、精神的に落ち着くのは早かった気がする。