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「そりゃあ、災難じゃったなあ。」
「間違った情報を渡されたお客さんも、気の毒に。」
「そんで、間に合ったのかの?」
夕食を食べながら、長老さん達が聞いてくる。
あの通りを塞ぐ騒ぎは、かなり広まってしまった。
隊士さんまで出て来たから仕方ないけど、当然、クルビスさんも忙しくなって、夕食はバラバラに取ることになった。
そこに、どこからか話を聞いて来た長老さん達は、新しいレシピの進捗状況を報告がてら、私と一緒に食事してくれている。
「ええ。たまたま来られた本局の偉い人が、お客様を送る手続きを取って下さって。それで、間に合ったみたいです。手紙より、本人が転移する方が、早いんですね。」
「街の外に送る手紙は、まとめて送るから、送る時間が決まっておるからのう。」
「使う転移陣が大きいから、発動させるのが手間じゃし、出来る術士が少ないしの。」
「ベテランの術士でも、日に何度もは出来んて。交代してやっておるわい。」
事情を聞きつつ、パクパクと夕食の春巻きを口にしていく。
エルフ用だから、中身は野菜と果物だけれど。
それにしても、街の外に送る転移陣は、やはり大きいし扱いが難しいらしい。
私も、前に守備隊の転移陣を扱えたけれど、今はもう無理だろうなあ。
大きいやつだと、緊張しっぱなしだしね。