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「道が塞がれていると通報があったんだが、転移局だと聞いて。」
急いで来てくれたんだ。
嬉しいんだけど、クルビスさんが来たことで見物人が集まってきたみたいで、外が騒がしくなっている。
「大丈夫みたいだな。」
私が無事だとわかったからか、クルビスさんの魔素が穏やかになった。
周りもホッとしていたら、カーテンの向こう側からカイザーさんが出てきた。
クルビスさんが来たのを、キャサリンさんがカーテンの向こう側に知らせてくれたみたいだ。
例のお客様とビドーさんは出てこない。その方が良いだろう。
「クルビス隊長。お騒がせして申し訳ありません。お客様の問い合わせに時間がかかってしまいまして。」
「いえ。大事ないようで安心しました。私が来たことで返って数を集めてしまいましたので、通行出来るよう、整理する隊士を派遣します。伴侶がカウンターにいるなら、道が開けるまで、警備の隊士を一つは中に待機させたいのですが、よろしいでしょうか?」
警備の隊士さんのこと、忘れてた。
たしかに、こんな状態じゃあ中の様子がわからないよね。
カイザーさんもそう思ったのか、申し訳なさそうに頭を下げる。
「もちろんです。こちらこそ配慮が足らず申し訳ありません。」
「いいえ。ありがとうございます。伴侶の無事も確認出来ましたので、私はこれで戻ります。」
クルビスさんはカイザーさんに感謝を述べて、警備の隊士さんと入れ替わりで出て行った。
出ていく時に手を振ってくれたので、振り返したら嬉しそうに目を細めてたから、もう大丈夫だろう。
「く、クルビス隊長が、わ、私は。」
「落ち着きな兄さん。クルビスの旦那なら、もう帰られたぜ。」
クルビスさんが見えなくなると、カーテンの向こう側から、ビドーさんと例のお客様が出てきた。
お客様は怯えてるように見えるけど、大丈夫かなあ。
知らなくてうちの転移局に来たんだったら、この人のせいじゃないと思うんだけど。
急いでる事情があったみたいだし。
「ま、俺はこの兄さんを広場まで送っていくわ。キャサリンの嬢ちゃん、うちの子ら、お宅の店の方でもうちいとばかし預かってくれねえか?」
「いいですよぉ。おばあちゃんに連絡しておきますねぇ。」
そう言って、キャサリンさんは連絡用の術式を組み始める。
キャサリン、連絡の術式も使えるんだ。
メルバさんや長老さん達くらいしか使ってるの見たことなかったんだけど。
長老さん達より時間はかかってるけど、ちゃんと連絡出来たみたいで「送れましたぁ。これで大丈夫ですぅ。」とビドーさんに答えていた。
「あ、あなたのことです!」
じゃあ行こうかと、ビドーさんが例のお客様を促したら、キャサリンさんに向かっていきなり叫ぶ。
あなたのことって、キャサリンさん?




