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トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
転移局のお仕事ー新手の勧誘?
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 ビドーさんの突っ込みにも全く動じることなく、問題のお客様は喋りだした。

 芝居掛かった仕草で話してるらしく、暗い緑の腕が見える。



「ええ。忙しい時間帯だというのは承知で、お願いしております。どうしても街の外に早く送らなくてはいけないんです。広場の方では、遠方へ送る術士さんが休んでるらしくて。急いでいるなら、こちらにその技量がある局員さんがいるから、頼んでみてはと勧められまして。」



 うわあ。嘘くさい。

 カイザーさんが盾になってくれてるけど、絶対こっち見てる。



 落ち込んだ沈んだ魔素を出してるけど、何だか気持ち悪い。

 ビドーさんも目を細めて、問題の緑の腕のお客様を見てる。



「ふーん。まあ、何にしてもだ。兄さんちいとどきな。道が完全に塞がっちまってる。このままじゃ隊士さんが来ちまうぜ。」



「え!?」



 そこでようやく気づいたのか、緑の腕のお客様は後ろを振り返る。

 隊士さんが来るっていうのが効いたかな。



「こんなに。まさか。」



「ここらじゃ、この転移局以外は広場まで行かなきゃねえからな。この辺りに店持ってるやつらは皆この転移局を使うんだよ。」



 ひええ。ビドーさんから、ピリピリした魔素を感じる。

 これって威圧かな。娘さん達はいいのかな?



「え。あ。」



「つまり、あんたは、今、商売の邪魔してるってえわけだ。わかるかい?」



 ビドーさんのセリフに合わせたように、後ろのお客様たちが一斉に緑の腕のお客様を睨みつける。

 まあ、自業自得かな。




 カウンターの片方でキャサリンさんが受付をしてくれてても、とても捌き切れない状況だから、通常の開店に間に合わない店も出てくるだろう。

 営業が遅れた分だけ、収入が減るんだから、恨まれるよねえ。



「も、申し訳ありません。し、しかし、私も急いでいるのです!この手紙が届かなければ、取り引きがダメになる!」



 悲鳴のような魔素と叫びに、皆目を丸くする。

 あれ。手紙を街の外に送りたいって本当だったんだ。



 作り話だとばかり。

 ビドーさんもそう思ってたのか、目をまん丸くしている。



「兄さん。あんた、ハルカ様に頼みに来たんじゃないのか?」



 疑問に思ったからか、ビドーさんがズバリと聞く。

 すると今度は緑の腕のお客様の魔素が驚きに揺れた。



「え?ハルカ様?ハルカ様って、クルビス隊長の御伴侶様の?」



「そうだぜ。この転移局で遠方まで送れるくらいの魔素持ち、つったら、ハルカ様だろうに。」



 まあ、実際に送れるかどうかはともかく、転移は距離と荷物の量が増えれば増えるほど魔素を使うから、街の外に送れる技量と聞くと、普通は黒の単色の私を思いつくよね。

 なのに、緑の腕のお客様の魔素は、驚きから不安を感じるものに変わっていく。



 おかしいな。

 どうもこのひと、私を中央に引き抜くために無理難題を吹っかけてきたんじゃないみたい。

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