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過剰反応だった治療部隊の試食が終わると、次は術師部隊の隊長さん達が来た。
こちらはグルメな2人だから、別の意味で反応が気になるなあ。
「知らない香りだ。腹減るなあ。」
「砂糖の香りがしますね。しかし、肉の香り?いえ、魚の香りですよね。肉の香りの魚?」
「アレか。また、珍しいものを。後は、パギョに…ショーユ、か?深緑の森の一族のレシピに似てるが、違うよな?」
「煮魚に似てますが、もっと濃いような?」
長老さん達に挨拶した後、キィ隊長とキーファ副隊長が代わる代わる材料を当てていく。何でわかるの。
それに、肉の味の干物のことは知らないと思ってたのに、キィ隊長は知ってたみたいだ。さすが。
「キィ、これを知ってたのか?」
ルドさんが黒と黄色のシマシマ模様の干物を見せながら、キィ隊長に質問する。
キーファ副隊長はギョッとした顔で、目を見開いて干物を凝視してるけど、キィ隊長は目を細めて笑って頷いた。
「ああ、昔、長様と長老様たちにご馳走になったんだ。一回だけな。」
「懐かしいの。魚人の里から、干物を大量に入荷した時じゃな。」
「あの頃は、まだ副隊長じゃったか。」
「今日はあの時とは一味違うぞい。まあ、とにかく食べてごらん。」
熱々のリギのご飯と、生姜焼きモドキが2人の前に出されて、試食開始だ。
キースさん食べられるかなあ。色にだいぶ躊躇してたけど。
「では、失礼して。頂きます。フー。フー。あちち。ハフッ。ゴクン。うん美味い。」
食べたことのあるキィさんから先に手をつけ、少し熱かったのか、水を飲んでたけど、気に入ったらしくお箸が止まらない。
そんなキィさんの様子を見て、キーファさんもお箸を持って、生姜焼きモドキとリギを一緒に食べる。
「!ゴクン。パク」
こちらもお箸が止まらないらしく、かき込むように食べ始めた。キーファさん丸呑みしてない?
カエルさんだから大丈夫なのかな。
「キーファも気に入ったみたいだな。ハルカさん、悪いがそこの水差し取ってもらえないだろうか?」
声を掛けられて見ると、キィさんは完食していた。
早すぎる。キィさんもほとんど噛んでないんじゃない?
「水差しですね。はい。どうぞ。…お味はいかがでしたか?」
「うん。ちょっと濃いかと思ったけど、リギと合わせたら美味しかった。砂糖も魚に合うんだなあ。驚いたよ。」
ピッチャーを渡しながら、味の感想を聞く。
スタグノ族も濃い味が苦手だから、一番気になるのはタレの濃さだ。
ルドさんが薄めに調整したやつでも濃いのかあ。
これは、レシピを紹介する時に、タレの分量を各自で調整してもらうのを書いておかないと。いや、薄めに調整したやつを紹介した方が良いかな?
水菓子がウケた分、人によっては反発が出そうだなあ。
故郷は寒かったから、味つけが濃いものが多いので注意して下さいって、注意書き付けた方がいいかもしれない。