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そこから、砂糖を使った料理について話しながら、田作りを冷ます間に、他の魚をかじり続けた。
苦い魚もあってびっくりしたけど、延々とかじってたおかげか、小魚おつまみになる組み合わせを見つけることが出来た。
折り紙くらいの大きさで四角い薄い板に見える魚が、おやつの小さいいりこの味にそっくりだった。
さっきのいりこモドキより、苦味はないから、そのまま食べるには良さそう。
ただ、この形はちょっと使いにくいかも。
元から四角いのか、干物にする過程で四角くなるのかはわからない。
「これを裂いて、あの小魚と合わせれば…。」
思いついたことを呟いて、また、一口。
フグほどじゃないけど、炙ったら噛むと味がどんどん出るなあ。これ。
出汁取れないかなあ。
炙った後の方が旨味が多いから、面倒でも、炙ってから煮込めば…。
「その方が美味そうじゃの。」
「生臭みもなくなるしの。」
「刻めばもっと早くダシが出るやも。」
あれ。どうやら、頭で考えてたのも口に出して、ブツブツ言ってたみたい。
長老さん達が出汁の取り方を一緒に考えてくれる。
「火を通してから、煮出す…。」
どれも魔素が飛びそうだからか、ルドさんは顔をしかめている。
このレシピは、上手く出来たとしても、紹介の仕方に苦労しそうだ。
手をかける料理と、食材から魔素が出ることのバランスが大事なんだよね。
守備隊の食事なんて、魔素の補給が最優先だ。
うだうだ言ってても始まらないため、とりあえず作ってみることにする。
手でさいた干物を煮ること10分。魚の香りが広がっていく。
それとは別に、田作り用に別にしておいたナッツ味の小魚と適度にに混ぜた。
こっちは、干物をあぶっとけば、すぐ出来るから、おつまみとして紹介しやすいかなあ。
「こりゃ良いの!」
「これだけでいくらでも入るわい。」
「おかずになりそうじゃ。」
いや、さすがにこれはおかずにはならないですよ。
ルドさんも頷かないで下さい。おつまみですからね?
「酒も欲しいの。」
「酸味のある果実酒の方が合いそうじゃ。」
「いや、やはりリギにも。」
だからおつまみですってば。ご飯はちゃんとしたものを食べなきゃダメですよ。
周りを止めながら、出汁をとり終わった魚を取り出す。
小皿に出汁を入れて一口。
美味しい。魚の風味が強いけど、ルドさんも長老さん達も拒否感は見られない。
うーん。なら、これもお出汁としてカウントしてもいけるかなあ。
後は、味見に来てくれるクルビスさん達の反応次第だけど。