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話がまとまると、夕食どきに隊長さん達に試食してもらうことにして、クルビスさんにはその伝言を頼む。
伴侶に頼られるのが嬉しいクルビスさんは、上機嫌で帰っていった。
「すっかりクルビス隊長の扱いを覚えたようじゃな。」
「イシュリナとルシェリード様を見ているようじゃ。」ぬ
「上手に転がしとる。」
褒められてる、のよね?多分。
まあ、イシュリナさんとルシェリードさんみたいに見えるっていうのは嬉しいけど。
ルドさんまで頷いてるし。
これで良いってことかな。頷いて良いかわからないから、笑って誤魔化そう。
「あはは。じゃあ、田作りも作りましょうか。冷ましてから食べるものですから、作ったら、他の干物の味見して待ちましょう。」
いりこモドキを選り分けながら、フライパンに入れる。
ふと、横の空になった鍋を見て、フグスープのことを思い出した。
これは試食してもらわなくて大丈夫なんだろうか?
良いお出汁が見つかって良かったけど。
「そういえば、さっきのフグスープはどうしましょう?あれも試食してもらうんですか?」
私の疑問には長老さん達が答えてくれた。
フグは大きくて味も良いので、よく食べられるため、まず、魚人の里に似たような調理法がないか、確認が必要らしい。
基本的に干物は深緑の森の一族か魚人たちで消費されるから、どちらにもレシピがなければ自由にレシピを作れるそうだ。
私が魚人の里で言った小魚を使った出汁やおつまみに関しては、すでに確認済みで問題はなく、甘辛いソース自体が存在しなかったため、生姜焼きモドキも大丈夫だそう。
ただ、干物をスープの具にするという、シンプルな調理法は確認しなければわからないそうだ。
魚人の里でも、日々、新しいレシピの開発を行っているので、もしかしたら、登録はしてなくても、レシピはすでにあるかもしれない。
レシピ一つで一獲千金を狙えるから、確認は細かく慎重に行わないといけないとか。
お出汁一つで大変だなあ。
でも、守備隊で採用するとなると、正式に登録してなくてはいけないから、仕方ないのかな。
大変そうだけど、長老さん達は張り切ってるから、大丈夫なんだろう。
となると、田作りの後は、いりこ出汁が出来ないか試さないといけないよね。
もし、このアーモンドみたいないりこモドキがダメだったら、あの干物の山から探さないといけないわけだ。
うわあ。振り出しに戻っちゃった。
でも、約束しちゃったしなあ。うーん。とりあえず、田作りを作ろうか。