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調味料を送ってもらう話がまとまると、次は分けられた干物の山のひとつに案内された。
何かあるのかな?大きさは小さめのものばかりだけど。
「そんでの。これが最初にハルカちゃんに食べてもらいたい干物じゃ。」
「これらは里で元々食べとったもんに近い味ばかりでの。」
「これからなら、ハルカちゃんも探しやすかろうて。もちろん、どれもハルカちゃんが食べてもオッケーなものばかりじゃ。」
エルフの里から送ってきたものだから大丈夫だとは思っていたけど、異世界でのアレルギーの心配はいらないようだ。
良かった。
里で元々食べてた味に近いってことは、きっとあー兄ちゃんが再現してた干物に近いんだろう。
じゃあ、食べなれた味がするんじゃないかな。
「ただし、硬いものもあるでな。ちいと噛むのがのう。」
「小さく切ってはどうじゃ?」
「噛めば噛むほど味が出るぞい。」
硬い干物か。
う~ん。硬い干物は炙って柔らかくするとかしないのかなあ?
「あの、軽く炙って柔らかくしたりはしないんですか?」
魔素が飛ぶからダメとかかな?
炒るってことも知らなかったみたいだし。
「炙る?」
「おお!そうじゃの。」
「それも良いの。」
「それなら、わしらでも噛みやすいやもしれん。」
特にだめってことは無かったみたい。
ただ、炙るということをルドさんに説明した時に、魔素が飛ぶかもしれないから、味が変わるかもという指摘を受けた。
豆を炒ることを説明した時もこんな感じだったなあ。
魔素が飛びそうな調理は嫌煙されるんだよね。
「なら、炙って小さく切ったものと、そのままで小さく切ったものを順番に食べ比べてみようではないか。」
「うむうむ。それなら、味がどう変化するかもわかるしのう。」
「魔素の違いも確かめられるじゃろ。」
そんな感じで、小さく切った干物を炙っては食べ、そのままのを食べと、試食会が始まった。
最初に食べたのは蛍光のブルーの干物で、干物だからか色が少し濃い目のブルーだ。
炙ると蛍光っぽく光って見えてくるのが不思議で、それ以上炙ると焦げて魔素が逃げてしまう。
味はアジの干物っぽい。油が乗ってるなあ。
これ、普通に焼いてご飯と一緒に味わいたいな。
あ、でも、魔素は味わうごとに減っていく感じがする。
炙らないと、何故か油が少なく、さっぱりしてて魚の香りは薄い感じだ。
魔素は結構残ってるから、これはこれで需要がありそうだけど、しょっぱなから結構差が出たなあ。
「炙ると、魚の味が強くなるんだな。油も出て、しっかりした味になる。そのままだと魔素が残って長く味が楽しめる。」
ルドさんもこの違いは興味深かったみたい。
長老さん達もこれは興味深いと、細かく記録を取り始めた。