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23

 麻のワンピースに着替えると、アニスさんにお礼を言って、部屋に戻ってもらった。

 それから、クルビスさんにベールのことを報告する。



 すると、目を見開いて驚いた後、視線が泳ぎ始めた。

 アニスさんには、「クルビス隊長に聞いてみて下さい。」って、言われたけど。



「…クルビスさん。もしかして知ってました?」



 怒りませんから、ちゃんと説明して下さい。

 最近ずっと忙しかったのはよくわかってますから。



「前に大貝に行った時に、ハルカの体調を心配しているという話にはなった。何か対策をしたいと。ハルカはアンコを作っていたから、後で話すと言われて…。」



 そのまま、メルバさんもクルビスさんも忘れてた、と。

 うん。成る程。そういうことかあ。



 怒る気はありませんよ。本当に。

 すごくびっくりしましたけどね。



 せめて、当日でも良いから教えてほしかったなあ。

 誰か他の人からでも良かったのに。



「すまない。伴侶のことを他の者が話すのを俺が嫌がったからだ。」



 ああ。しばらく一緒にいれなくて、ドラゴンの血がこういうところで出ちゃったのかあ。

 そして、クルビスさんに遠慮して、誰も私に話さなかったと。納得。



「じゃあ、後でメルバさんにお礼言いに行きましょう。クルビスさんも、刺繍のことは知らなかったんでしょう?」



 きっと、寝る時間を削って刺繍して下さったはずだ。

 刺繍の細かさに、クルビスさんも改めて驚いているし。



「ああ。そうしよう。その、ハルカ、すまなかった。遥加の体調を心配して下さっていたことは、話しておくべきだった。」



 確かに。それは教えておいてほしかったなあ。

 最近は色々あって、プライベートな会話が少なくなってた気がする。お互い忙しかったとはいえ、それは今回の反省点だ。



 私も、海の底に行くんだから、食べ物以外も、もっと相談していれば良かった。

 クルビスさんの話や、フェラリーデさんから刺繍のことを聞く機会があったかもしれない。



「そうですね。それは教えて欲しかったです。大事なことは次の朝でも良いから、話すようにしましょう。私たち、新婚なのに、会話が足りませんでしたね。」



 クルビスさんの言葉に、苦笑して頷きつつ、改善点を示す。

 旦那様がものすごく忙しいのは、結婚前からわかってたことなんだから、お互い努力しないと会話は減る一方だ。



「ああ。俺も、これからは、その日のことをハルカに話すよ。…全部は無理だが。」



 お仕事の関係は別にいいですよ。

 一般市民には話せないこともあるでしょうし。



 でも、うん。良いかもしれない。

 私だけじゃなく、お互いにその日のことを話すのって。夫婦って感じがするなあ。

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