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頑張って止めたけど、結局お土産はネックレスは2つ、ブレスレットは3つになった。
こっそりネックレスを追加しようとしてたのは全力で止めたけどね。
不満そうなクルビスさんを何とか宥めて、色も白に近い貝殻のものに出来てホッとする。
さすがに、どぎつい紫の貝のネックレスとか普段使いにはハードルが高すぎる。
「あれも似合いそうだったのに…。」
クルビスさん、まだ言ってる。魔素も落ち着かないし。
ちらちら見ても追加はいりません。
いりませんよ。
デランさんの方に行かなくていいですから。頼まないで下さいよ。
もう十分いいもの買ってもらいましたから。
この白っぽいネックレスなんて、早速職場に着けていきたいなあって思ってるんですよ~。
断固拒否の魔素を出しつつ、お土産を褒めちぎる。
うん。何とかクルビスさんの魔素が収まってきた。これで何とかなるかな?
「すごい…。」
「流石ですね。」
ん?何か周りの視線が痛いような。
やだ。皆さんもう買い終わって、私たちを待ってて下さってる。
慌てて、クルビスさんを急かしつつ、貝の加工工場を出る。
すると、デランさんが「もう暗くなりましたので、宿舎にご案内します。」と移動し始める。
海の中だからわかりにくいけど、朝来た時よりたしかに海が暗いように感じる。
でも、言われてようやく気付く程度だ。
魔素の輝きがあるからなのかな?
海底なのに真っ暗にはならないんだよね。不思議。
これじゃあ、朝と夜との境目がつきにくくて不便じゃないのかなあ。
あ。でも、人間と違って、他の種族は感覚がずっと鋭いから、シーマームの方々には問題ないのかもしれないなあ。
「暗くなるのが早いのですね。」
「地上と距離があるからね~。強い光じゃないと底まで届かないし~。夕方になったら海の魔素だけだね~。」
フェラリーデさんとメルバさんが話してる感じからして、やっぱり他のひと達は暗くなったって、ちゃんと感じてるんだ。
他のひとも不思議そうに天井の海の部分を眺めているけど、暗さがわからないなんてことはないみたい。
こういう時でも身体能力の差を感じるなあ。
仕方ないことだけど、自分だけわからないというのは不安を感じる。
そう思ったら、ギュッと肩を抱き寄せられていた。
胸の中の不安が薄れていく。ああ。気を遣わせちゃったなあ。
でも、その気持ちが嬉しいので甘えちゃおう。
私たちは寄り添いながら、宿舎を目指した。