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 その次に案内されたのは食品加工の現場だった。

 海の中で加工しないと魔素が減ってしまうという、まさに海の特産品。



「こちらがゼリーの元になります。」



 そう街ではおなじみのおやつ、ゼリーの元は魚人の里で作られていた。

 寒天みたいに海藻から出来るっていうのは聞いてたけど、まさか海の底で加工されてたなんて。



「…昆布?」



 積み上げられた海藻は見た目は昆布みたいに平たくて大きなものだった。

 ただし色はオレンジ色。



 あれからどうやって白っぽい透明なゼリーになるんだろう。

 地面に置いた鍋でぐらぐら煮てる、のかな?でも、火が見えない。



「あちらで地熱で蒸して柔らかくしてから、皮を剥き、中身をコマ切りにして、また蒸します。その工程を何度か繰り返し、固めて乾燥させると、このような形になります。」



 各工程の現場の横の道をぞろぞろと歩きながら説明を受ける。

 地熱かあ。海底にも火山があるらしいけど、利用してるんだなあ。



 蒸す工程があるから熱気がすごいけれど、それよりいい匂いがする。

 昆布だしというには薄い香りだけど、食欲をそそる香りだ。



 そのまま食べたりは出来ないんだろうか。

 術式で乾燥させたゼリーの元がごろごろ並んでいるのを見ながら、お腹が鳴りそうなのを耐える。



「そのまま食べたりは出来ないんですね。」



「いい匂いでしょう?ですがアクが強くて、そのままではとてもとても。魔素は少ないのですが、収穫してから長持するので、もともと休眠期に中身だけを食べていたのです。それでも苦味があって敬遠されていました。それを長様と研究しまして、どうにか、ゼリーに出来るようになりました。」



 え。じゃあ、ゼリーは非常食だったってこと?

 驚きの事実に、周りの隊士さん達も驚いている。



「ふふふ〜。昔食べた味に似てたから、再現出来たら、甘い蜜をかけて食べられると思って頑張ったんだ〜。」



 ゼリーの開発は、メルバさんの食欲のおかげだったみたい。

 昔食べた味っていうのは、あー兄ちゃんが葛きりでも作ったんだろうなあ。



 非常食から定番のおやつを作り出すなんて。

 メルバさんの甘味への情熱が凄すぎる。

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