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海の木についてはそれ以上はわからなくて、質問もやんだので、次の見学場所に向かう。
ちなみに、海の輝石の加工については、今はまだ採れる時期ではないらしくて見学は出来なかった。
残念だなあ。
あの木になってる状態からどうやって保存の加工とかしてるんだろうって気になってたのに。
「残念です。加工も是非見て見たかった…。」
南地区のウルルク副隊長も私と同じ気持ちだったみたい。
ううん。私より残念そうだ。
イグアナの一族は陽球の加工を生業にしてるひとが多いから、技術的なことに感心が高いのかもしれない。
その様子を見て、デランさんが簡単に工程を教えてくれることになった。
それにまた周りがビックリしてたけど、もしかして、これって破格の待遇なのかな?
デランさんがちらりとこちらを見た気がしたから、そうなのかもしれない。
「そう難しいことをしてるわけではないのです。海の輝石は我らの魔素と良く反応しまして。一定の魔素で包んでおけば、自然と宝石のように固くなるのです。そうなると海の木にはなりません。」
魔素で包むだけ?それで石みたいに硬くなるの?
え。そんなことってあるの?
ちらりとメルバさんを見る。
それに気づいたメルバさんがデランさんを見て、デランさんが頷くのを確認して説明してくれた。
「う~ん。性質というか特質っていうやつだね~。シーマームの子たちって、昔は海の底で住居を作るのに砂を固めて一つの岩みたいにしてたらしいから、魔素がそういう使い方に向いてるようになってるんじゃないかな~って、僕は思ってる~。僕も試しにさせてもらったけど、全然変化しなかったしね~。」
魔素の性質かぁ。
それは種族の特性だよねえ。真似が出来ない。
周りも納得したのか、落ち着いたみたい。
ウルルク副隊長はがっかりしたかと思ったけど、魔素の特性の話には頷いていた。
「魔素の性質は一族の中でも差が出ますから。今のお話しはよくわかります。海の輝石はシーマームの方々あってこそなのですね。」
一族の中でも差がでるっていうのはウルルク副隊長の実体験なんだろう。
珍しいイグアナの一族の隊士さん。それだけで、色々あったんだろうなあって想像出来る。
本人は気にしてないみたいで、魔素は全然ゆれてなくて、むしろ生き生きしてるように感じるけどね。
そんなウルルク副隊長の言葉にデランさんも頷いている。
「はい。ですから、海の輝石は海からの贈り物だと言われているのですよ。」
海からの贈り物かあ。そういう風に言われるのわかるなあ。
海の輝石って、シーマームしか作り出せない海の宝石だもんね。