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 そんな感じで、歓迎の食事会は良い感じで終わった。

 最後に水菓子が出た時は歓声が上がって、大賑わいになったのは嬉しかったなあ。



 さっぱり目の果汁で喉を潤したら、各一族の工房や魚人の里の施設を案内してもらうことになっている。

 魚人の里は北が狭くて南が広い扇形だ。



 北から南へ向かって移動していくことになってるけど、一番北にあるのが最初に到着した洞窟になるらしい。

 そこから周囲に魚人の里の中心になる施設が集まり、南に広がるにつれて住宅街や真珠の養殖施設や海藻の加工工房なんかに変化していくんだって。



 北を下に南を上の地図でみたら、玉ねぎ型のルシェモモの先っちょに扇がくっ付いてるような位置関係にあるらしい。

 ルシェモモが北へ北へと広げて発展を遂げたなら、魚人の里は南へと街を広げていった形だ。



 そもそも、シーマームたちは、昔は、海の中でバラバラに一族ごとの単位で暮らしていたらしい。

 でも、2000年前の「大崩壊」の時、海の中も大きな被害があって、まだシーマームではなかった魚人たちも住む場所を失った。



 そこで魚人たちが頼ったのが深緑の森の一族。

 エルフ達が異世界から来たばかりの頃、メルバさんが持ち前の冒険心で海の中も潜ってて、繋がりは全体の一部とはいえ、かなり最初に出来てたんだって。



 さすが元冒険者。

 でも、エルフ達が来てすぐに「大崩壊」があって、皆めちゃくちゃになった。



 しばらくは崖崩れ以外は比較的被害の少なかった街の近くの海に固まっていたそうだ。

 そのうちにルシェリードさんがシーリード族を作り、皆で一丸となって住む場所を作ろうとルシェモモの街を作ることになって、魚人たちも自分たちを海の民シーマームとし、海の中で街を作ろうということになった。



 そして、その話を聞いたドラゴン達の協力もあって、地盤と潮流をある程度安定させることに成功し、街づくりが始まったのだそうだ。

 だから、魚人の里はルシェモモと対の街という位置づけだ。ここまでは式の前にお勉強した。



 私たちが最初に出た洞窟は南地区の港になってる海側に崩れた崖、その地下の海に沈んだ部分にあたるそうだ。



 大昔は海に出る出口として漁師さん達が使っていたのだとか。

 だから、転移陣の部屋のあった部分は、元々は地上のルシェモモの街に通じるトンネルの一部で、地下の大空洞とつながっていたのだそうだ。



 これは結構知らないひともいたようで、意外なつながりに皆さん驚いていた。

 私は先に崖ごと崩れた割に洞窟が崩れてないことの方が驚きだったけど、同じことを思ったひとがいた。



「ですが、よく崩れませんでしたね。大崩壊であの洞窟もつぶれてしまいそうですが。」



 フェラリーデさんも同じ疑問を持ったみたいだった。他のひとも頷いてる。不思議だよねえ。

 それにはメルバさんが明るく答えてくれたけど、メルバさんらしい規格外の答えだった。



「海に降りるのに便利だったから、僕が勝手に強化しちゃってたんだけど、それが良かったみたいでね~。海に崩れた部分はそのままの形で、こう地すべりしたんだよね~。」



 あはは~と手を斜めに滑らせて地滑りの動きを再現しながら笑うメルバさんに対して、周りは固まってる。

 強化したって、何をどう強化したら地すべりでも崩れない洞窟になるんだろう。



 きっと異世界にきたばかりで、はしゃいで色々試してみたくなったんだろうなあ。

 もしかしたら、元いた世界の魔術を使ってたりして。

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