表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
314/397

11

 私がハモもどきを気に入った様子に気を良くしていたクルビスさんだけど、私が白身の魚を箸に取ろうとした時には少し固まってしまった。

 う~ん。やっぱり抵抗あるのかなあ。



 でも、シーマームとの交流を考えると、出来ればクルビスさんにも食べて欲しい。他の方には難しいだろうから。

 クルビスさんは、イシュリナさんの故郷の料理で白いお餅も食べてるだろうし、シーリード族の中では白い食べ物に抵抗が無い方だと思うんだけどなあ。



 培ってきた習慣や常識が邪魔するのかなあ。無理は良くないけど、出来ればひと口だけでも食べてみたいと思って欲しいんだけど。

 あ。さっきのクルビスさんみたいに、今度は先に私が美味しそうに食べてみればいいかな?



 パク。もぐもぐもぐ。

 うん。美味しい。やっぱりわさび欲しいなあ。



 そこが残念だけど、とりあえず醤油だけでも美味しいよね。ちょっとだけお刺身につけてっと。

 ほら。クルビスさんとっても美味しいですよ~。ひと口だけ食べてみません?あ~ん。



 パクリ



 あ。食べた。

 目を真ん丸に見開いて、それから口をもごもごさせてる。



 今度は目をうっとり細めて、気に入ったみたい。

 良かった。あ。もっと食べたそうに見てる。



 はいはい。おかわりですね。

 その前に、さっきのお魚、もうひと口私に下さい。順番ですよ。



 そうやって、周りをそっちのけでふたりで食べさせ合っていると周りがまた騒がしくなったのに気づく。

 どうやら、調味料や白身の魚に他の参加者も挑戦しようとしてるみたいだ。



「ふむ。この魚ですね。使ってらっしゃるのは…。あ、これ、深緑の森の一族のソースでは?」



「ええ。魚とよく合うので、こちらの里にも定期的に降ろしています。」



「それまでは塩や果汁で食べるだけでしたから、この里の料理もずいぶんと変わりました。」



「ん!これはなんと上品な甘みでしょう。とても美味しいです。」



「でしょう!これはギラという魚で、この時期しかこの辺りでは採れないのです。白い魚なので地上の皆さまにおすすめするのは迷ったのですが、深緑の森の長様に出した方が良いとご意見をいただきまして。」



「そうだよ~。美味しいでしょう?初めて食べた時にはビックリしたよ~。白いお魚なのに、魔素も多いし、美味しいし~。世界には知らないことがまだまだあるよね~。」



 いろいろな話と一緒に驚きの魔素が背中に感じられる。

 私はクルビスさんの方を見てるから確認出来なかったけど、クルビスさんが面白そうに笑ってたから皆おっかなびっくり食べて、その美味しさに驚いているんだろうな。



 主賓の私たちが食べれば、シーマームの方たちに失礼にならないと思ったんだけど、他の隊士さん達も食べてくれるならその方がなお良いよね。

 会場も最初よりずいぶん打ち解けた雰囲気になってきてるし、良い感じでスタートできたんじゃないかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=721049258&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ