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 周りが静かなのに首を傾げながらも、黄色いお刺身を口に運ぶ。

 あ、サーモンだ。これ。



 それもスモークサーモンみたいな風味。

 煙たい味の魚かあ。それともホントにスモークしてるとか?



 いやいや、さすがにないよね。

 海の底だし。



 それにスモークっぽいけど、っぽいってだけで噛むと甘みもあって、お刺身だ。

 スモークサーモンっぽい魚ってあるんだなあ。



 クリームチーズとか欲しいなあ。

 水にさらした玉ねぎとかね。



 それでパンに乗せてパクっとしたら、美味しいよねえ。

 サラダもあるみたいだし、後で一緒に食べてみようか。



 あ。その前に白身のお刺身っと。

 ん?周りがまたにぎやかになって来てる。



「ハルカのおかげだよ。」



 クルビスさん。何のことです?

 そして、なぜ私の目の前にお刺身が。



 あ。あ。お醤油がしたたっちゃう。

 パク。もぐもぐもぐ。美味し~。



 は。いやいやいや。

 違うって。何でいきなりあ~んが始まってるんですか。



「お披露目だからな。」



 え。お披露目ってあ~んってしてもらってたっけ?

 ううん。してないしてない。



 あえて言うなら、ルシェリードさんの所にご挨拶に行った時だけど、あれは例外でしょう。

 うん。だから膝に乗せたいって目はやめましょうね。しませんよ。



 緑のお刺身をちらちら見てる。

 食べたいのかな?でもあ~んはしませんよ?



 …そんな目で訴えられてもしませんよ!

 ほら他の方も困って。あれ。笑ってる。



「ウワサに聞いた通りですな。」



「なんと睦まじい。」



「まだ蜜月だしね〜。」



 不思議だけど、イチャイチャを受け入れてもらえてるみたい。

 メルバさんも笑ってるし。



 こっちの世界のこういう感覚はまだわからないなあ。

 目のやり場に困らないんだろうか。




「伺っていましたが、本当に蜜月に来ていただけるとは。」



「よろしかったのでしょうか?」



「ええ。今回の訪問は本人たちの強い希望でしたし。それに、あのお2つはお互いへの信頼が厚く、蜜月の中でも仕事を頑張ることを決めて、普段から励んでおられますから。」



「本当に蜜月だったんですね。私は南でウワサだけ聞いてましたが、その、ウワサだけだと思ってました。」



 私がクルビスさんにあ〜んされてる間に、チラホラと私たちのことを話してるのが聞こえてくる。

 それにフェラリーデさんが答えたり、さらに隊士さんたちからも質問が出て来たりと賑やかになってきた。



 なんか違う気もするけど、まあ交流にはなってるのかな?

 しょうがない。私たちのイチャイチャが話題を提供するなら、皆の前であ〜んくらいやろうかな。



 緑のお刺身でしたね。

 はい。クルビスさん、あ〜ん。

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